前頭葉の萎縮が「心のブレーキ」を壊す

とはいえ、「キレる」という現象が、脳全体の萎縮によって起こるわけではありません。ひとことで「脳」といっても、この臓器は大脳、小脳、脳幹(中脳、延髄など)といったいくつもの部位に分かれています。

そのうち、運動、知覚、思考など人間にとって重要な機能を担っているのが大脳です。その表面を覆う大脳皮質は、さらに前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉という部位に分かれています。高齢者の「キレやすさ」に関係するのは、大脳皮質の中の「前頭葉」にほかなりません。この部位が萎縮することで、怒りの感情にブレーキが利きにくくなるのです。

【図表1】脳の構造
出所=『老人は「キレる」くらいでちょうどいい』(集英社インターナショナル)

では、前頭葉は脳の中でどんな役割を担っているのか。大脳全体の約30%を占めるこの部位の働きは単純ではありません。多くの役割を果たしており、人間が人間らしく生きていく上で、とても重要な存在といえるでしょう。ある意味では、もっとも重要な部分といっても過言ではありません。