「病のロードマップ」を知っておく

もうひとつ、家族であるあなたが知っておくと役に立つのが「病の軌跡」です。

これは、患者さんの病気の発症から亡くなるまでの間、自立度がどう変化するかを表した、残り時間のロードマップのようなもの。

実は、日本人の死因の多くを占める「がん」「内臓疾患」「老衰」については、この道のりに一定のパターンがあることがわかっています。

これを知っておくことで、「大切な人の人生の終わりが、そろそろ近づいてきた」ということや、「ここから先は、一人で生活するのは難しくて、周囲の支えがいるようになるんだな」ということが、なんとなく予想できるようになります。

つまり、あなたが大切な人と最後の時間を過ごすために行動を始めるべき「あるタイミング」がわかるようになるのです。

「動けなくなってから」では手遅れ

【がんの場合】

次のグラフは、がんの「病の軌跡」です。

このグラフを見ると、治療中のがん患者さんの自立度は、意外にも高いことがわかります。

実は、抗がん剤などの治療中であっても、患者さんは概おおむねいつもどおりに動けることが多いです。

ところが、あるタイミングにくると、急激に自立度が低下して、患者さんは自力で動くことができなくなっていきます。

このあたりで治療の継続が難しくなります。ここが大切な人の人生の「最終段階」のスタートです。

がんの場合、そのタイミングは、医師から「もうこれ以上治療をしても効果がありません」と告げられたときと思っておくとわかりやすいのですが、ただしそこからはグラフのとおり、急激に自立度が落ちていきます。

ここからわかるのは、がんの場合、医師から「もうできる治療がありません」と告げられてから何かしようと思っても、患者さんはそこからたちまち動けなくなるので難しいということ。だから、本人は治療中にやりたいことをやったほうがいいし、家族もそれを応援するなり、一緒に行動するなりしたほうがいいということです。

ちなみに、抗がん剤治療をしている患者さんには、ファーストライン(第一選択治療)で、もっとも効果が期待できる薬が使われます。

その薬が効かなくなったり、副作用が強すぎて続けられなくなると、治療は次の選択(薬)へと移ります。それがセカンドライン(第二選択治療)です。そしてさらに効かなくなれば、サードライン(第三選択治療)へと移ります。

あなたが大切な人との「いい時間」をもう少し長くとりたいと考えるのであれば、セカンドライン、サードラインの治療に入ったときが「これからの時間をどう過ごすか」を真剣に考え始めるタイミングだと言えます。