子育てという「混乱」にどう適応するか

さまざまな研究によれば、第一子の誕生は勤勉性を高めるどころか、むしろ一時的に低下させる傾向が観察されているのです。出産を経験することは外向性の低下と関連しており、勤勉性や情緒安定性の明確な向上も確認されませんでした。

これは、育児というまだ経験したことがない初めての出来事によって、自分や家族がもつ資源(リソース)が足りなくなることや、生活の混乱を反映している可能性があります。

初めて子どもをもつという経験は、それまでの生活を激変させます。夜間に授乳をしなければならなかったり、睡眠が不足したり、子どもがいるとやはり予定も立てにくくなります。出かけようと思って準備をしても、子どもの調子が突然悪くなるかもしれません。子どもが誕生するまで維持してきた生活は一気に崩れてしまい、計画的な生活からは程遠いものになってしまう可能性もあるのです。

親になるという経験は、大人としての成熟に向かう変化というよりも、まずは混乱を経験し、そのなかでいかに適応していくのかということが問題になるのかもしれません。

「ベビー・バブル」はいつの間にか終わる

興味深いのは、その変化が出産後だけに起こるわけではないという点です。

先に紹介したのと同じ研究によれば、これから出産するという時期には、情緒安定性や人生満足度が一時的に上昇する「予期効果」が観察されています。これは、結婚前に生じる効果と似たような効果です。結婚するときだけでなく、新しい家族を迎えるという期待についても、それが生じる前に心理的な好ましい効果をもたらすのです。

しかし出産後、その好ましさは急速に低下していき、元の水準へ、あるいはそれ以下へと戻る傾向が示されています。まるで、赤ちゃんが生まれることによる一時的な高揚という意味で「ベビー・バブル」とも言えるようなこの現象は、結婚の時と同じように、ポジティブな出来事に対して人が次第に「あたりまえ」として慣れていってしまうことを示しています。

親になることが性格に及ぼす影響は、男女で同じ形では表れません。