社交性が低い男性が父親になると…
フィンランドの9年間にわたる調査データを用いて分析した研究によると、「性格が子どもをもつ確率を予測する」だけでなく、「子どもをもつことがその後の性格変化を予測する」という双方向の関連が見られています。
そして子どもを授かることは、神経症傾向の一部で感情を抱きやすい傾向である情動性が高まることに関連しており、この傾向はもともと情動性が高い人や、子どもが二人以上いる場合に特に強く見られました。
さらに父親では、外向性の一部で他者との関係を形成しやすい傾向である社交性について、親になることに伴って複雑な変化が見られることも報告されました。もともと社交性が高い男性は親になるとより社交的になり、もともと社交性が低い男性はさらに低下するというように、もともと持っていた傾向が強まって分岐していくようなパターンが示されたのです。
子どもの存在が親の性格を変えていく
ここで重要なのが、「双方向性」という観点です。
親が子どもを育てるだけでなく、子どももまた親を変えていくのです。刺激に敏感でなかなか泣き止まず、夜泣きも多いような行動パターンをもつ子どもを授かった親は、慢性的なストレスのなかで神経症傾向が高まりやすい可能性があります。
逆に、安定した感情を示す穏やかな気質の子どもを授かった場合には、その子の親は自己効力感や満足感を高めていく可能性があります。実際に、子どもの気質が親の行動や心理特性に影響することは、研究の中でも示唆されています。
「親になれば変わる」というのは、確かに「何かしらは変わる」部分があるのは確かでしょう。しかし、その変化は一様ではなく、親になって何を経験したのかで大きく変わっていくということです。
どのような子どもと、どのような日常的相互作用を積み重ねるかが、親の性格を少しずつ変えていくのです。


