減税のメリットに目を向ける

それにしても減税を議論するとき、財政赤字増加と将来世代への借金の付け回しというデメリットのみが語られて、メリットがほとんど俎上に上ってこなかったのは不思議である。

減税のメリットは、減税乗数と税収弾性値という2つの変数に依存する。減税乗数とは1の減税がどれだけ最終需要を生むかという変数で、経験的に2~3と見られている。

また税収弾性値とは1%のGDP成長率が何%税収を増やすかであるが、財務省の公式見解はこれまで1.1で、2025年に1.2に修正されたが、それでも著しく実態から乖離している。この点を指摘した日本維新の会前参院議員柳ケ瀬裕文氏への政府答弁(2025年2月4日)で過去10年間の平均税収弾性値は3.23であることが明らかになった。

この2つの変数によって減税が経済と税収にどのような変化をもたらすのか、試算してみよう。6兆円(対GDP比1%)減税すると、最終需要は12兆~18兆円、対GDP比2~3%増加する。

これに柳ケ瀬議員に対する答弁の税収弾性値3.23を乗ずると、税収は6.46~9.69%増加する。2025年の税収を80兆円と見積もると、2026年の税収は5.17兆~7.75兆円増加すると計算される。つまり減税分はまるまる将来の税収増で回収できるのである。

武者陵司『トランプの資本主義革命』(日本実業出版社)
武者陵司『トランプの資本主義革命』(日本実業出版社)

日本はデフレから脱却し、企業は儲かり、税収は見積もりを大幅に上回り続けている。

その結果、税金の取り過ぎが起きたのである。

減税すればさらに消費は増え、税収も、経済成長の高まりによって、むしろ増えていくことが見込まれる。

日本経済の将来は明るく、増税しなくても税の増加が続き、年金や健康保険は安泰という楽観論への切り替えが必要である。そうした楽観論は、株式市場が歓迎するもので、株価を押し上げていく。

※2026年4月22日時点の内容を一部加筆修正しています。

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