高市首相にあり安倍元首相にはない3つの優位性

この歴史的使命に対して高市政権は及び腰で、持論の消費減税、毅然とした対中・対米姿勢を封印しているように見えるのは、先の総選挙で圧倒的多数を確保したものの、与党内での支持は必ずしも絶対ではないことにも理由があろう。

いずれ、高市首相は選挙公約として掲げた積極財政とともに、国家安全保障戦略や憲法改正を強力に押し出していくだろう。公約が実現できず人々に生活改善の実感を届けられなければ、高市人気が衰えることも考えられる。

そうした不安を除けば、高市内閣は長期政権化する可能性は高い。高市首相には、先達者である安倍元首相にはない3つの優位性がある。それは稼ぐ力、保守・ナショナリズムを正当化する現実、インターネット・SNSによる情報発信力、である。

高市早苗氏の2期目の内閣発足時の写真
高市早苗氏の2期目の内閣発足時の写真(写真=内閣広報室/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

まず稼ぐ力について。2012年12月、第二次安倍政権発足時の日本の稼ぐ力は奈落の底にあった。2000年以降、十数年にわたって名目GDPは500兆円前後、法人企業利益は40兆円前後で低迷し、株式時価総額や税収は、10年前に比べ1~2割も減少した。

加えて、1ドル=85円の超円高のもとで、日本企業の競争力は地に落ち、総力を結集した日の丸半導体、エルピーダメモリは破綻した。

巨額の隠れた投資原資

また、雇用も10年間で5%減少した。安倍政権が投資や国民生活向上に振り向けることができる原資はまったくなかった。

それに対して、高市政権が船出した現在、アベノミクスの成功と円高是正により、企業収益は劇的に改善し、税収は倍増、株式時価総額は4倍になるなど、国民の富は激増している。

政府には、年間で6兆~10兆円と試算されている恒常的な税収の上振れに加え、米国国債保有の為替差益約40兆円、日銀保有のETF含み益48兆円、GPIF累積運用益180兆円など、巨額の隠れた投資原資もある。

いかに高市政権の船出が投資余力に恵まれているかは、明々白々であろう。

第二の保守・ナショナリズムを正当化する現実について見てみよう。第二次安倍政権が誕生したとき、日中は尖閣諸島問題で激しく対立していたものの、米国の態度は不明であった。靖国神社に参拝した安倍元首相を、米国の保守系新聞であるウォールストリートジャーナルまでもが、危険な国家主義者の登場というキャンペーン記事を連載したくらいである。