「高市首相が自衛隊派遣を断った」はウソ
いま9条礼賛論を唱えるメディア関係者たちは、9条問題のこの法理を捻じ曲げて逆の主張をしているだけではない。彼らは「事実的証拠に基づいた(evidence-based)解説をする」という報道倫理のイロハを無視して、自分たちの政治的願望を事実であるかのように語っている。
まず、「高市首相が、憲法9条の制約により停戦前にホルムズ海峡に自衛隊を出動させることはできないと伝えた、そしてトランプがそれに理解を示した」というのは全くの嘘であることを指摘したい。
「9条があるからできない」などと言ってはいない
高市首相は、「[イラン侵攻への協力に関し]日本には法律上できることと、できないことがあり、法律上できないことはできないと、米国にもはっきり申し上げる」と、訪米前の国会答弁で言っていた。「法律上できないことは法律上できない」という言明は無意味な同語反復で、大事なのは、「具体的に、法律上、何ができて、何ができないと高市政権は考えているのか」である。
しかし、高市首相は日本での国会答弁でこの肝心の点を明確にしなかった――明確にさせられなかった野党も情けない!――だけでなく、トランプとの会談でも、何ができないかを具体的に示さず、日本は軍事協力できないなどと言ってはいない。
上記の3月23日付朝日新聞は、会談での日本の説明に関し、茂木外相の証言を次のように引用している。
会談同席者の茂木氏は22日のフジテレビの番組で、「具体的にこれはできる、できないと話はしていない」としつつ、「日本には法律的にできることと、できないことがあることをきちんと説明し、トランプ氏もうなずいた」と明かした。
首相の説明は「憲法9条があり、その下でさまざまな事態認定がある。そういったことも含めて日本には制約がある」との趣旨だったという。

