「天下一の美人」は事実だった
つまり小豆袋の逸話は、信長に滅ぼされた朝倉の旧臣が「自分たちは悪くなかった」と言いたくて作り上げた話が出発点である。お市の人物像は、敗者の自己正当化のために動員されたのだ。
だが、それだけではない。この逸話が後世に広まり、繰り返し描かれてきた理由がある。読む側にとって、あまりにも「美しい話」だったからだ。兄への忠義と夫への愛の狭間で揺れる美しい女性……この図式は、江戸時代の読者にも、現代のドラマ視聴者にも、等しく刺さる。
結果、気づけば、創作が史実を上書きして現在に至っているのである。
ここから先は無料会員限定です。
無料会員登録で今すぐ全文が読めます。
プレジデントオンライン無料会員の4つの特典
- 30秒で世の中の話題と動きがチェックできる限定メルマガ配信
- 約5万本の無料会員記事が閲覧可能
- 記事を印刷して資料やアーカイブとして利用可能
- 記事をブックマーク可能
