情報過多による現代の歯科医院経営の厳しさ

歯科医院経営を取り巻く環境は、昭和や平成の時代とは大きく異なり、厳しさを増しています。

多保学『脱・院長の教科書』(クインテッセンス出版)
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もっとも深刻な点は、人口減少です。日本の総人口は14年連続で減少しており、2024年は鳥取県の人口に相当する55万人が減少しました。この傾向は今後も続き、30年後の2055年には1億人を下回ることが予測されています。人口減少は患者数の減少に直結します。

少子高齢化で労働生産人口も減少するため、スタッフの確保がますます厳しくなります。さらに医療費削減の圧力が強まり、公的医療保険の診療報酬が減額される可能性もあります。

開業コストの高騰も深刻です。コロナ禍以降、好立地の賃料は軒並み上昇しており、私が経営するクリニックにも賃料値上げの交渉が来ます。さらに円安の影響で、輸入医療機材のコストが大幅に上昇しています。開業のハードルは高まるばかりです。

情報過多による弊害も無視出来ません。SNSやYouTube、またAIの進化により、医療に関する情報が山のようにあふれ、何が正しい情報なのかわかりにくくなっています。

そんななかで、若い医師によく見られるのが、最新の医療技術の情報だけをつまみ食いしてしまうケースです。

例えば、ある手術について、1970年代に最初に行われた文献があり、そこから段階的に技術が発展してきた歴史があるにも関わらず、AIなどで得た最先端の情報だけに飛びついてしまいます。その結果、基礎的な技術や経験を飛ばして、いきなり応用技術に手を出そうとするのです。

遠回りでも体系立てて学ぶ

わかりやすい例で説明すると、内視鏡手術を行える医師は、開腹手術が出来ることが前提で手術を行っています。なぜなら、内視鏡手術中にトラブルが起きた際に、開腹してリカバリーする必要があるためです。

ところが、基礎的な技術を飛ばして応用から入るのは、このことを理解せず、いきなり内視鏡手術をしようとするようなものです。このような問題に対しては、従来のように、たとえ遠回りであっても体系立てて学ぶことを怠らないように指導していくことが求められます。

これからの医院経営は、昭和や平成にはなかったこれらの問題をきちんと把握したうえで、1つひとつ乗り越えていかなければなりません。

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