新NISAで「ふつうの人」も続々参入

こうして多くの方に受け入れられるようになった背景には、スマートフォンやネット証券の普及により投資のハードルが格段に下がり、投資が「特別な行為」ではなく「人生の選択肢の一つ」として生活に取り入れやすくなったという環境の変化があります。私はこの15年間で、その変化を現場から肌で感じてきました。

さらに、2024年に始まった新NISA制度は、こうした流れをあと押ししました。非課税期間が無期限となり、積み立て金額の枠も大きく拡大。「長期的に資産を育てる」ことを前提とした制度設計が、ようやく整ったのです。その結果、もはや投資は「一部の人の趣味」ではなく、「多くの人の生活習慣」になりつつあります。

また、お金を「使う」という行為は、単に個人の幸福を追求するためだけのものではありません。そのお金が消費や投資を通じて企業活動を支え、さらに雇用や所得として社会に還元されていく――。つまり、私たち一人ひとりの行動が、経済全体を動かすインベストメントチェーンの一部を担っているのです。

1990年代まで自国中心にしか投資を考えてこなかった米国人でさえ、今や、グローバル分散投資を重視する時代です。個人が世界の成長に参加しながら、自らの未来を形づくる。そうした投資の広がりこそが、より豊かな社会をつくる力となるのです。

経済危機をいくつも乗り越えた結果

ここで、実際に長期でコツコツと積み立てを続けた場合、どれほどの成果が期待できるのか、具体的な数字で見てみましょう。

オルカンが設定されたのは2018 年であり、ファンドとしての運用実績はまだ長期とはいえません。ただし、このファンドはMSCI ACWI<アクウィ>(全世界株式指数)に連動するものです。

その年次リターンをまとめたのが図表1のグラフです。これを見ると、2000~2002年のITバブル崩壊、2008年~のリーマン・ショック、2010~2012年ごろの欧州債務危機といった、世界経済に大きな打撃を与えた局面をすべて含んでいます。それでも、この期間の年平均リターンは9.72%となっています。長期で見れば、世界経済の成長が株式市場を押し上げてきたことは、データ上でも確認できるわけです。

たとえば、この9.72%という過去の平均リターンが今後も続くと仮定すれば、25歳から60歳までの35年間、毎月2万8000円を積み立てることで、投資元本約1180万円が、最終的に約1億円に到達する計算になります。