不確実性を受け入れ、一喜一憂しない

しかし、ここで注意すべき点があります。この試算はあくまで「過去の平均値を、そのまま未来に当てはめた」ものであり、現実の投資とは大きく異なります。実際には、リターンは年ごとに大きくばらつき、平均通りに積み上がることはありません。

仮に目標を「1億円」と明確に定めた場合でも、前提とするリターンによって、必要な積立額は大きく変わります。たとえば、年率7%を想定すれば毎月約5万5000円、5%を前提にすれば約8万8000円が必要になります。つまり、同じ目標額でも、前提次第で負担は大きく変わってしまうのです。

このように、投資とは、将来の成長を期待して「不確実性を引き受ける行為」であり、あらかじめ特定の金額に到達することを約束してくれるものではありません。にもかかわらず、目標額だけを固定してしまうと、リターンのブレに一喜一憂しやすくなり、投資行動そのものが不安定になります。

もちろん目標額を設定すること自体は悪いことではありませんが、それよりも重要なのは、長期・分散で市場に居続けること、そして無理なく続けられる積立額を設定することです。

結果としてどこまで増えるかは、市場が決めます。その不確実性を受け入れたうえで時間を味方につけることこそが、投資運用の本質だといえるでしょう。

プロが「20年は続けて」と答える理由

過去のデータでは、20年程度の保有期間を取るとマイナスになりにくい傾向があります。長期投資の期間について問われたときに20年は投資しましょうと答えることが多いのも、そういった背景があります。

オルカンはMSCI ACWIという指数に連動していると説明しましたが、このデータが取れるのは1998年からです。1998年から10年のローリングリターン(測定期間を1カ月ずつずらして計測したリターン)と20年のローリングリターンを測定すると、10年のローリングリターンはマイナスとなる期間もありますが、20年のローリングリターンはおおよそ4%から10%の間に収まっています。

このことは、市場の大きな下落に遭遇すると、10年という期間では必ずしも回復する余裕はないものの、20年の期間があれば、回復する期待が持てるということを示しています。