体をサビつかせ、老化や病気の原因に
アルコールそのものにも細胞毒性はあるが、アセトアルデヒドは発がん性が非常に高い有害物質だ。
アセトアルデヒドが分解しきれずに体内に残り、血液中に増えると、頭痛や吐き気、動悸が起きたり、血管が拡張して顔が赤くなったりする。長時間残ると二日酔いになりやすい。また、飲むと顔が赤くなるかどうかは、ALDHが大きくかかわっている。
ALDHの活性が高い人は、悪酔いしにくい。
ALDHの活性は非常に個人差があるため、この活性が低い人は、アセトアルデヒドが血中に長時間残りやすく、がんにつながるなどのリスクもある。だから、前にも述べたように、飲むと顔が赤くなったり、お酒に弱い人が無理して飲んだりすることは、非常によくないことなのである。
なかにはALDHの活性がまったくない人もいる。いわゆる「下戸」である。お酒を少し飲んだだけでも顔が赤くなったり、気持ちが悪くなったりしてしまうタイプだ。
また、アセトアルデヒドの特徴として、非常に強い酸化物質だという点が挙げられる。アルコールが最終的に代謝された酢酸も、弱い酸性だ。ということは、お酒を飲むことは体内を酸性に傾けさせ、活性酸素を大量に発生させる。ひと言で言うなら、体をサビつかせ、老化や病気の原因にもなるのである。
主役級の活躍をする栄養素「ナイアシン」
アルコールの代謝の過程で特に必要な栄養素がある。それがナイアシンだ。
「ナイアシン」という名前を聞いて、どんな栄養素かスラスラ説明できる人がいたら、かなりの栄養通(?)と言えるだろう。それくらい、知っているようで知らない栄養素なのである。
ナイアシンは、ナイアシンアミド(ニコチンアミド)とナイアシン(ニコチン酸)の総称であり、かつてはビタミンB3とも呼ばれていたビタミンB群の一種である。
ナイアシンの効果の1つに、エネルギーの産生がある。私たちが酸素を使って効率よくエネルギーをつくる際、ナイアシンが必要になるのだ。
アルコールの分解にも、このナイアシンが欠かせない。
NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)は、ナイアシンが化学変化したもので、ナイアシンがないとつくれない補酵素だ。補酵素とは、酵素を働かせる脇役のようなもの。NADは、非常に多くの酵素の働きにかかわっている重要な補酵素であるだけに、あちこちで取り合いになってしまうほどの人気者なのだ。
NADがないと、アルコール脱水素酵素(ADH)も、アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)も働くことができない。
つまり、お酒を飲めば、その代謝にナイアシンが大量に使われるため、ナイアシン不足になるということだ。ナイアシンが不足すれば、代謝がスムーズにいかないため、アセトアルデヒドが体内に長くとどまることになる。これが悪酔いや二日酔いを招くというわけだ。

