副大統領ですらトランプの戦争を支持しない

さらにトランプ政権にとって、選挙以上に深刻な問題がある。戦争の大義そのものが揺らいでいるのだ。CNNの分析によれば、イラン攻撃の根拠とした「差し迫った脅威」について、政権は説明を二転三転させた末、いまだ決定的な裏づけを示せていない。明確な開戦理由を欠いたまま有権者の疑問だけが高まれば、支持基盤からじわりと人が離れていきかねない。

極めつけの皮肉がある。CNNが指摘するとおり、保守政治集会CPACの模擬投票で「ポスト・トランプ」の筆頭に立ったヴァンス副大統領その人が、イラン戦争への全面支持から明らかに距離を置いているのだ。「戦争をしない大統領」を信じて集った人々は、当の大統領が仕掛けた戦争を前に、結束を引き裂かれつつある。トランプ自身が放った「アメリカ・ファースト」のブーメランがどこに返ってくるのか、まだ誰にも予想できない。

アメリカの若年層に広がる失望

4層に分かれたMAGA連合。走り始めた亀裂に加えて、世代間の乖離も目立つ。

アメリカン・コンサバティブ誌のミルズ氏はPBSの取材で、イラン戦争を推進しているのはベビーブーマー世代の保守派だと指摘する。若い世代はそもそも、開戦の大義が正しいとは認めていない。

「イランには本土を攻撃できる核兵器も弾道ミサイルもなかった」とミルズ氏は述べ、マイク・ジョンソン下院議長らが唱える「差し迫った脅威」論を一蹴した。オバマ政権時代のイラン核合意より有利な条件で交渉に臨む道もあったが、それでもトランプ氏は開戦を選んだ。これがどうアメリカ・ファーストに結びつくのか、支持層には混乱だけが残る。

ミルズ氏はトランプ氏の開戦を、ジョージ・H・W・ブッシュ元大統領が1988年の大統領選挙キャンペーン中に掲げた「新たな増税はしない」の公約とその後の公約破りになぞらえ、歴史に残る裏切りだと断じた。

ルイジアナ州ニューオーリンズで開催された共和党全国大会で受諾演説を行うブッシュ副大統領(当時)
ルイジアナ州ニューオーリンズで開催された共和党全国大会で受諾演説を行うブッシュ副大統領(当時)(写真=ジョージ・H・W・ブッシュ大統領図書館・博物館/PD-USGov-POTUS/Wikimedia Commons

「永遠の戦争はもう終わりにしよう」。そのフレーズで支持を集めた大統領に、とりわけ若い世代は深く失望している。

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