価格とコストは基本、関係ない
【松田さん】たしかに主食であるコメは、市場の価格調整機能を邪魔するさまざまな要因があるので、そう単純には言えませんが、基本的に価格は需要と供給で決まります。2024年にコメの価格が上昇した理由は「猛暑による不作(供給減)」「インバウンドによる消費量増加(需要増)」でしたから、備蓄米の放出(供給増)で価格は一定程度下がりました。
【アワタニ】ああ、そうでしたね。
【松田さん】でも減反(*3)で供給を絞ろうとしたり、おこめ券で需要を下支えしようとしたりすれば、それらを見越して価格は上がります。非常にシンプルな話なんですが、ここにコストを持ち込むと、とたんにわかりにくくなる。
【アワタニ】でも、値ごろ感のあるものをつくって原価を切り詰めるのはビジネスの常識ですよね。だって人は、お得なモノしか買わないじゃないですか。あ、これが「日本人は需給で価格が決まることが苦手」の正体?
日本人の大部分が「適正価格信者」
【松田さん】日本人の大部分が「適正価格信者」ですから。ただ、通貨とか金融商品にまで、その考え方を持ち込むのは違いますと言いたいだけですよ。繰り返しになりますが、マーケットでの価格は需要と供給で決まります。米騒動でも「なんで上がった」と入口と出口をひっくり返してみたら、供給が減っただけでした。2024年は予想に誤りがあって「じつは不作だった」と、政府がのちに認めていたくらいですし。
*3 減反
日本で1970年代以降実施された米の生産調整政策。過剰生産を防ぐため、田んぼの一部で米以外の作物を作付けさせる(転作)制度。2018年に廃止され市場原理に基づく生産に。

