イスラエル英字オンライン紙のタイムズ・オブ・イスラエルによれば、イランは携行式地対空ミサイルの増強をはじめ、多層防衛を固めている。米軍が制空権・制海権を握っている以上、島の制圧そのものは短期間で済むかもしれないが、本当に難しいのはその先だ。

カーグ島はイラン本土からのロケット砲や自爆型ドローンの射程内にあり、ロシアから調達したドローンの移送もすでに進んでいる。占拠するまでは良いが、支配体制を維持するには、沿岸に散らばる移動式発射台を捜索・破壊するため航空戦力を大量に張りつけねばならない。カーグ島を奪うことはできても、守り続けるための消耗戦は容易でない。

海峡閉鎖を強化すべきという逆説

どの選択肢をとってもイランの収入源を断てないのであれば、問題をまったく別の角度から捉え直すしかない。米外交問題評議会(CFR)名誉会長のリチャード・ハース氏は、逆転の発想を打ち出した。

彼が提案する案が、「全員に開放か、さもなくば全員に閉鎖か(Open for All or Closed to All)」だ。イランの船舶も海峡を通さないことで譲歩を迫り、海峡を開かせるという逆説だ。

ハース氏が米外交政策ニュースレターのホーム・アンド・アウェイで説く構想はこうだ。イランが商業船舶への妨害をやめるまで、同国のタンカーをいかなる国にも到達させない。空母と地域基地を拠点に、幅約200マイル(約320キロ)のオマーン湾に艦船・航空機・ドローンの防衛ラインを敷く。関係国にはあらかじめ通告し、それでも従わない商船は航行不能にする。

2014年の太平洋配備中に撮影された、USS駆逐艦とリトラル戦闘艦
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狙いは利害構造の逆転だ。いまイランの石油を輸入している中国・インド・パキスタン・トルコは、供給が断たれれば自らイランに海峡開放を迫る側に回る。封鎖で唯一利益を得てきたイランが、代償を免れなくなるという算段だ。

護衛作戦やイランの原油積み出し拠点であるカーグ島の占領に比べて作戦上のリスクははるかに小さく、国際水路の自由航行原則に沿うぶん国際的な支持も得やすい、とハース氏はみる。原油価格への影響が皆無とはいえないが、イランの輸出量自体が限られている以上、上昇幅は小さいとの読みだ。

ハース氏の構想を別の角度から補う提案もある。ワシントン近東政策研究所は、封鎖を仕掛ける当のイラン自身が輸入品の約80%をホルムズ海峡経由で受け取っている点に着目している。人道上必要な食料品は通すが、原材料や工業製品は迂回させるという選択的封鎖は十分可能との案だ。