歴史文化が失われる亡国の兆し

今後、デジタル教科書で育った子どもたちが社会の大勢を占めるようになったら、日本の古典文学なんかを勉強しようと思う人がいなくなってしまうかもしれません。

林望『書物を楽しむ あえて今、紙の本を読む理由』(朝日新書)
林望『書物を楽しむ あえて今、紙の本を読む理由』(朝日新書)

たとえば、中国では、共産党が天下を握ってから文字を簡体字にしてしまった。そのため、今の中国の人は昔の本をまったく読めないのです。

かつて正字であった繁体字で書かれていると、何の字だかわからない。そこで文化の断絶が起こってしまい、全く古典を理解できない人が大半になって、何千年も昔から蓄積されてきた、哲学、歴史、文学、学術、等々の根幹を形成する「書物」を、国民の大多数が読むこともできず、むろん書くこともできない……それは一国の存立から言えば、歴史の喪失、文化的蓄積の断絶ということですから、もう亡国のきざしです。

日本のように、奥ゆかしい文学や哲学、絵画や歴史、そういう文化的な長い伝統を持っている国が、そんな情けないことになっていいのでしょうか。

アメリカなどは、18世紀に出来た新興国ですから、当然我が国のように長い伝統もなく、豊かな古典文学も持っていません。そうした長く豊かな歴史を持たない国々が電子化という力わざによって、文化的ヘゲモニーを掌握し、すべてをその都合に合わせて再構成するようでは、我々の長い伝統と高い蓄積を誇る文化的アイデンティティが圧殺されてしまうことがあきらかです。

絶対にそんなことを許してはなりません。

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