「自分とは違う」わが子をよく観察する
中学受験の指導をするようになって40年以上が経つが、ここ10年ほど、本当にいろいろな親がいるな、と感じている。かつての中学受験は、親子代々で同じ学校へ通わせたい、将来的に医師を目指させたいなど、ごく限られた家庭が行うものという印象があったが、今はさまざまな理由で受験をするようになっている。
ここまで、中学受験経験者の親と未経験者の親のそれぞれの傾向を挙げてきたが、どちらが良いか悪いかというものはない。ただ、どちらもそれぞれに陥りやすい傾向があることを知っておいてほしい。わが子の中学受験に親の学歴は関係ない。大事なのは、自分とわが子は別の人間であること、また大人と子供とではできることとできないことがあることを理解した上で、目の前にいるわが子をよく観察することだ。
毎日「良くなっていること」を探す
人生経験が豊富な大人と違って、小学生の子供は遠い未来に向かって頑張り続けることはできない。そのため、親のサポートは「何をやらせるか」よりも「どのように進めていくか」が重要になる。遊びたい盛りの小学生を毎日コツコツ勉強に向かわせるには、子供が気持ちよく勉強ができるようにしてあげることが大切だ。
大人からすると、覚えたことをすぐ忘れたり、ケアレスミスが多かったりと、ちっとも成長していないように感じるかもしれないが、よくよく観察すれば、毎日何かしら良くなっていることが見つかるはずだ。
例えば、今までは適当に書いていた漢字のハネがきちんと書けるようになった。途中式を書くのを面倒くさがっていたのが、書くようになったなど、どんな些細なことでもいいから、良くなった点、良くなりつつある点、良くなりそうな予感がする点に目を向け、そこを褒めてあげてほしい。この小さな、小さな前進の積み重ねが、やがて確かなものへと変わっていく。そう信じて、子供のサポートをしてあげてほしい。
「受験とはこうあるべきだ」という親の先入観があると、中学受験はうまくいかない。いろいろな情報が飛び交う昨今だが、誰かの子供の成功談ほど当てにならないものはない。余計な情報は遮断し、とにかく目の前のわが子をよく見て、伴走してあげてほしい。


