学校に行けなくなった子が中学受験をすることは可能なのか。プロ家庭教師集団名門指導会代表の西村則康さんは「結論から言うと、不登校でも中学受験はできる。ただし、2つのポイントを心に留めてほしい」という――。
桜の木の前に立つ制服姿の女子学生
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高校受験より中学受験のほうがおすすめ

近年、小学校では不登校児童が増加しているという。学校に行けなくなる理由はそれぞれだが、私の周りでは、いわゆるギフテッドや発達障害の傾向がある子が、学校に馴染めなかったり、友達関係でうまくいかなくなったりして不登校になるケースが多い。そして、近年はそういう子たちの中学受験の相談が増えている。

結論から言うと、不登校でも中学受験はできる。いやむしろ、不登校の場合は出席日数や授業態度などの面から、高校受験では内申点に響きやすいので、中学受験を勧める。ただし、小学校の出席日数も評価の対象となる公立中高一貫校や女子校は難しい。それ以外であれば、私立の学校は最難関校から底辺校まで幅広く、そういう子を受け入れる体制がある。

以前、ある男子難関校の授業を見学したとき、飛び抜けて数学ができる生徒がいた。しかし、勉強はできるものの、授業中どこか落ち着きがない。後で先生に話を聞くと、その子はいわゆるADHD(注意欠如・多動症)で、クラスの全員がそのことを認識していた。だが、彼の数学の出来はピカイチなので、数学に関しては、まわりに一目置かれていた。授業で難しい問題が出されると、まず彼の考えを聞いてみる。難関校にはそんな空気がある。このように、その子に合った環境に出会えれば、中学受験は吉と出る。

不登校の子の中学受験「2つのポイント」

だが、ここで一つ忘れてはいけないことがある。それは、私立中高一貫校へ進学するためには、中学受験を経なければならないということだ。

不登校の子に中学受験をさせる場合、次の2つがポイントになる。1つは「中学受験の勉強をどういう環境で進めていくか」、もう1つは「どのような学校を選ぶか」だ。

昨今、中学受験といえば、受験カリキュラムが整った大手進学塾に通うのが一般的だ。子供が不登校になる理由は本当に様々で、勉強は好きだけれど、友達関係がうまくいかず学校に行けなくなってしまったという子もいれば、担任とそりが合わない、体育の授業が憂鬱などといった理由で学校へ行くのを嫌がるようになる子もいる。そういう子の場合は、塾へ行かせて受験勉強をさせるのが効率的だ。塾にクラスメートがいるからイヤという場合は、別の校舎に通わせればいい。