最初の「やめたい」タイミングは4年生の9月
【4年生】活を入れたつもりがあっさり脱退宣言されることも
一般的に小学4年生から6年生の入試本番まで、3年間かけて準備を進めていく中学受験。しかし、主役はわずか10〜12歳の小学生の子供。3年間高いモチベーションを保ちながら、頑張り続けるのは難しい。ときには「受験をやめたい」と弱音を吐くこともあるだろう。長年、中学受験の指導に携わってきて感じるのは、各学年それぞれにやめたくなるタイミングがあるということだ。最初のタイミングは4年生の9月。夏休み明けに行われる模試の結果が返って来る頃に訪れる。
中学受験の勉強は小学校の勉強よりもはるかに難しいというイメージがあるが、4年生(小3の2月からスタート)の始めの半年間はそれほど難しい内容には触れない。そのため、塾の勉強についていけない子はあまりいない。ところが、親の方が受験勉強が始まった途端、「早く勉強を始めなさい!」「もっと勉強しなさい!」を連呼するようになる。そして、子供がやる気のない態度を見せようものなら「ダラダラ勉強するなら、塾をやめさせるわよ!」と脅し言葉を投げるようになるのだ。
現実のしんどさを実感する時期
夏休みが終わり、小4生にとっては夏期講習中の学習の成果を計り、しかもクラスの上下を決める大事な模試を受けることになる。その結果に、親はあれこれ言いたくなる。そして、わが子にもっと頑張ってもらわなければ! と思い、「受験するって言ったのはあなたなのよ。中学受験の世界は甘くないんだから、こんな調子のままなら塾をやめさせるよ」と発破をかける。
すると、あっさり子供の方が「うん、やめる!」と言い出すことがある。親としては、子供が悔しがって頑張ってくれるのを期待しての言葉だったのだが、まさかの展開に面食らうことになるだろう。
昨今、中学受験者数が上昇傾向にある中、子供から「受験したい」と言い出すケースは少なくない。その言葉を聞いて、親は「自分から言い出したのだから、きっと頑張ってくれるはず」と期待してしまいがちだ。
しかし、実際に塾通いが始まると、自由な時間が減ってしまう。特に夏休みは4年生といえども、夏期講習で多くの時間が取られる。すぐに「あれ? こんなはずじゃなかったんだけどな」と、現実のしんどさを実感するようになる。子供は本人なりに頑張っているつもりだったけど、親はちっとも褒めてくれないし、受験勉強が始まった途端にあれこれ口うるさく言われるようになり、なんだか毎日が楽しくない。そして、「こんなんだったら中学受験なんてしなくていいや」と思ってしまうのだ。

