マンモス校や集団行動重視の校風はあまり勧めない
ただ、一概には言えないが、1学年のクラス数が多いマンモス校や、集団行動を強要し、生徒たちを均一化させるような校風の学校はあまり勧められない。マンモス校ではその子の個性が埋もれてしまったり、排除されたりしてしまう可能性があるし、校則や校風が厳しめの学校は、そもそも不登校の子には合わない。
冒頭で最難関校にいた、いわゆるADHDの子の話を紹介した。理系科目が群を抜いて得意、または何かについては人一倍詳しいといった子は、そういう子をリスペクトできる環境の学校を選ぶといいだろう。あまり知られてはいないが、最難関校と言われる学校には、そういう子が少なくない。
また、中堅校でも様々な個性を持った生徒たちを上手に伸ばしてくれる学校がある。受験校を選ぶ際には、「わが子の個性を尊重し、伸ばしてくれる学校はどこか」という視点を忘れないでほしい。
受験勉強を通じて基礎学力を付けられたら成功
ただ、勉強面で心配な子もいるだろう。不登校児の中には、低学年のときから学校に行けていないという子もいる。そういう子の場合は、そもそも基礎学力が不足している。上を目指すつもりはなくても、基礎学力がなければ中学受験は難しい。そういう子の場合は、その子の学力に応じた学習が必要になるので、個別指導塾や家庭教師を利用した方がいいだろう。まずはしっかり基礎学力を身に付ける。これが最優先だ。
首都圏には偏差値30〜70台まで、幅広い学力層を受け入れる学校がある。強気な受験を避け、併願校選びを間違えなければ、どこかの学校には合格できるだろう。だが、基礎学力が身に付いていないまま、中学受験を突破してしまうと、中学に入ってから勉強についていけなくなり、再び不登校になってしまう危険性がある。
そうならないためには、ただ環境を変えるために中学受験を選択するのではなく、「受験勉強を通じて基礎学力を付けることができたら成功」という心の在り方を持っておくことが大切だ。環境さえ変われば良くなるだろうという他力本願ではなく、まずは生きるベースとなる基礎学力を盤石にしておく。その上で、わが子に合っているだろうと感じた学校を選ぶ。この順番を間違えてはいけない。

