不登校になった直後に中学受験を促すのはよくない

中学受験をするとなると、その準備をしっかり進めていかなければならない。ただ、不登校の子供たちは、決められたレールに乗せられることを嫌がる傾向がある。受験勉強にスケジュール管理は必要だが、システマチックにやりすぎるとうまくいかない。

また、小学校に行けなくなった直後に、「学校に行けなくなったのは今の環境のせい。じゃあ、中学受験をしよう」と促すのも勧めない。塞ぎ込んでいた状態から、少しずつ表情が明るくなり、何かを頑張ってみようかなという兆しが見え始めたら、挑戦してみる。焦りは禁物だ。また、いざ中学受験をすると決めても、子供の気持ちを最優先してほしい。とても受験勉強どころではないという状態なら、一度立ち止まってみるなど、臨機応変に対応してほしい。

勉強中、頭を抱える子供
写真=iStock.com/Hakase_
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10代の6年間で子供は大きく成長する

最後に私の教え子の話をしよう。その子は集団行動が苦手で、学校を休みがちだった。保護者の意向で中学受験をすることになったが、苦戦が続き、結局、受かった学校は偏差値30台の学校1つだけ。でも、その学校は生徒一人ひとりの個性をとても大事にしてくれた。中学生のときは相変わらず勉強は苦手だったけれど、良い友達に恵まれ、学校生活は充実していたようだった。

転機が訪れたのは高校生になってから。学年が上がっていくにつれ徐々に学習のコツをつかめるようになり、同時に成績も上がっていった。最終的にその子は、大学受験で第二志望の大学に進学できた。これは驚くべき成長だ。学校選びを間違えなかったからこそ、充実した6年間を過ごすことができたのだ。

10代の6年間、子供は大きく成長する。小学生の時点では机に向かって勉強できなかった子でも、友達とうまくコミュニケーションがとれなかった子でも、その子に合った環境に出会えれば、どんな子でも伸びしろは十分にあると私は信じている。だからこそ、学校選びは慎重に行ってほしい。

子供が不登校になってしまうと、親はその子の将来が絶たれてしまったように感じ、ひどく落ち込む。だが、どんな子にも立ち直れるチャンスがあるし、その子自身にも今の状況を変えられる力を持っている。どうかその力を信じて、子供の成長を見守ってあげてほしい。

(構成=石渡真由美)
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