「住宅ローンを払えないかも…」と断念
買い手と売り手の希望価格の乖離以外にも、相場が頭打ち傾向になった要因は多い。まず、金利上昇の影響は大きいだろう。
昨年の秋ごろから、都心の中古マンション価格の上昇ペースは鈍化した。そのタイミングは、高市政権が発足した時期と重なる。
自民党総裁選などをきっかけに、国内の金利上昇は鮮明化した。物価上昇で日銀が追加利上げを慎重に続けるとの観測は増えた。高市政権の財政政策への警戒感も高まった。短期から長期、超長期まで全年限で金利は上昇した。
不動産投資を行う人は、金融機関から資金を借りることが多い。金利上昇で、住宅購入や不動産投資の資金借り入れコストは増える。それにより、中古マンションへの需要は圧迫された。中古マンションを手に入れたいが、価格、金利負担の高まり懸念から見送らざるを得ない人は増えたはずだ。
中古マンション投資のメリットが薄らいだ
政府や自治体の規制検討も、中古マンション価格頭打ちの要因になった。高市政権は、外国人による土地取得ルール、在留資格審査の厳正な運用を重視している。それは海外投資家への牽制になったはずだ。
昨年7月、千代田区は、購入者に5年間の転売を禁じる条項導入などを不動産業者に要請した。共同名義で複数人が中古マンションを購入し、短期的に当該物件を貸し出し、転売益を狙うことを制限するための措置だ。
マンション賃貸の利回り低下も一因だろう。一般的にマンションなど不動産の価格変化率は、賃料の変化率よりも大きい。価格が上昇する一方、賃料の伸びのスピードは緩やかだ。そのため、年間の賃料を価格で割った利回りは低下した。
昨年4~6月期、都心3区の賃料価格比は2.8%に低下した。無リスク資産である国債の利回り上昇など、中古マンションに投資する妙味は薄らいだ。金利上昇による資金調達コストの増加も加味すると、都心の中古マンションの割高感は高まったといえる。

