自民党総裁選での「パフォーマンス」
2025年9月22日に行われた自民党総裁選演説会において、高市首相は「奈良公園のシカを外国人観光客が蹴っている」というネットの噂を持ち出し、自身が外国人受け入れ抑制に取り組むようなイメージを振りまいた。
この時、万葉集から「大伴家持がシカを詠んだ歌」を引用したうえ、朗々と吟じてみせるというパフォーマンスも繰り出していた。
このパフォーマンスには、自身を「伝統を守る保守派」として印象付けようという意図があったのではないか。無学な筆者には高市首相の吟唱について論じる資格はないが、どことなく声が上ずっていてこなれた感じがないところから、直前に付け焼き刃で学んだような雰囲気も感じる。
そもそも高市首相の趣味は「スクーバダイビング」や「ヘビーメタル演奏」だとされていて、カラオケの18番は「B’zやMr.Children」だという(2009年1月27日付高市ブログより)。少なくともネット上では短歌や詩吟、競技カルタをたしなんでいたという情報は見つからなかった。
つまり、明確な証拠はないものの、選挙向けのパフォーマンスとして急遽用意したのでは? と疑うことはできるだろう。
竹島問題をめぐる「手のひら返し」
高市首相が「保守派を装っていた」ことを疑わせるもう一つの根拠として、韓国への矛盾した姿勢があげられる。
高市首相は長年にわたり竹島問題に取り組み、「竹島は韓国が不法に占拠している」ことを訴えてきた。対北朝鮮でも拉致被害者の問題に取り組み、この点でも「保守強硬派」として知られてきた。
例えば25年9月の自民党総裁選の時点で、次のように発言していた。
本来でしたら竹島の日、堂々と大臣が出ていったらいいじゃないですか。顔色をうかがう必要がない。日本の領土、島根県として私たちみんなが知っていなきゃいけない
(2025年11月8日付産経新聞「高市早苗氏を『右寄り』と呼ばせない 総裁選出に衝撃の中韓と侵され続ける国家主権の回復」より)
一方で、政権の座につくやいなや、竹島問題については如実にトーンダウンしていく。
2026年2月22日に開催された「竹島の日」式典に閣僚を派遣しないことを早々と決定し、保守派からは「裏切り」「手のひら返し」という批判を浴びた。

