わが子を説得する「手紙の書き方」まで教わる
そうそう、と同調したSさんが意外な成り行きを明かした。
数年前の代理婚活交流会でSさんとYさんの妻は意気投合、互いの子どもの見合いを画策した。結果的にはYさんの息子との見合いが叶わなかっただけでなく、以前の娘は代理見合いや交流会で探した「お相手」を勧めてもたいして乗り気にならなかった。
奥手だからダメなのか、それとも親が探した相手ではイヤなのか、不安が募ったSさんは三年前、ある業者の「親御様向け相談会」に出向いたという。当の業者の母体は結婚相談所、相談会に出向いた親たちにアドバイスする一方で子どもを入会させるよう勧められた。
「親は子どもの幸せのためなら、お金を惜しまないところがあるでしょ? だからまず相談会で親の悩みを聞き取ったり、やる気を引き出したりするんですよ。そのあとで『お子さんのために婚活費用を出してあげましょう』って勧誘されるんです」
相談会では結婚相談所への入会を説得するための「親から子どもへの手紙の書き方」、そんなレクチャーまであった。あなたの将来を心配しているとか、なんとか結婚してほしいとか、そういう親の思いはかえって子どもの重荷になる。だからあえて「あなたの結婚」には触れず「私の結婚」、つまり親自身が結婚したときの気持ちや結婚後に実感した幸せをしたためるのだという。
40代の娘が「お母さん、行ってきて」と言うように…
さらに親子一緒に受けられる婚活カウンセリング、期間限定のキャンペーンの紹介があった。カウンセリングでは当人の性格診断や婚活の進め方などのアドバイスを受けられ、キャンペーンは入会金半額、契約日から2カ月間は月会費無料、そんな内容だ。Sさんは資料を持ち帰って娘に見せ、併せて自身の結婚や家庭生活の経験を綴った手紙を渡して入会を勧めた。その後に親子一緒のカウンセリングも受けたという。
「あのとき娘は40歳直前でしたね。カウンセラーから婚活するなら1日も早く動かなくちゃダメだって言われたり、いろんな成婚例を教えられたりすれば気持ちも動くじゃないですか。娘も納得して、その場で私が契約金を払ったんですけど、とにかく本人がやる気を出してくれてホッとしたんです」
結婚相談所ではプロ仲人と称する担当者が月に10人の男性の身上書を娘に、一方で娘の身上書も同数の男性に送り、双方を仲介するシステムだった。年齢や職業、趣味などが異なる男性を比較検討できるメリットはあったが、反面では「お相手」候補を絞るのがむずかしい。返事を先延ばしするうちに先方から断られることがつづいて、娘は半年もせずに退会したという。
「せっかく結婚相談所に入会したのに残念でしたけど、実は娘の気持ちが劇的に変わったんです。身上書を見るだけじゃ細かいことまでわからないし、自分でお相手を探してみたらいかに大変か実感したみたいなの。それからは『お母さん、行ってきて』って言うようになったんです」

