親たちが求めているのは「期待や希望」

Yさんの言葉に深くうなずいたSさんが、身を乗り出すようにして話し出した。

「私も何人かの方から、お子さんにご縁があったという親御さんの名前を聞いてます。どういうお相手と結婚したのかはっきりしたことはわからないけど、交流会に出るとそんな噂話も耳に入りますね」

YさんやSさんの話を聞くにつれ、明確な数字や具体的割合を求めていないような気がした。何人とはわからなくても、とにかく結婚できた子どもはいる。親の代理婚活をきっかけに子どもが意欲を持ち、別の方法で婚活をはじめてうまくいった。あきらめかけたところに、思いがけないご縁を得た親子がいる。そういう期待や希望がなにより大切だとすれば、むしろ割合などは知りたくないのかもしれない。仮にその数字が厳しいものであるならば、希望は失望に変わってしまう。

「親ががんばればうまくいくって、そう単純な話じゃないだろうけど、何もしなければそれっきりじゃないですか。私の息子なんていい歳だし、冷静に考えれば正直無理かなってあきらめもありますよ。ただね、自分が動けるうちはやってみよう、やるだけやってダメならしょうがない、そういう気持ちでいたほうが救われるんです。交流会ではおめでたい話が聞けたり、こうして親同士が知り合ったりできるわけだから、それはそれでいい場だと思いますね」

カフェのテーブルとコーヒ
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「自分がやれるうちはやらなきゃ」

希望や期待の一方で現実も見据えながら、Yさんは自分なりの代理婚活への向き合い方を話した。

「ウチは私より主人のほうが……」

今度はTさんが意味ありげな苦笑を浮かべた。

「娘が独り身のままじゃ死んでも死にきれない、母親の責任でなんとかしろって言うんです。こんな歳になっても結婚できないのはおまえの育て方が悪かったんじゃないか、母親なんだから縁談をまとめなくてどうするってガミガミ言われちゃって……」

夫から迫られるTさんは、自分でも自分を責めるところがあるという。主婦や嫁として汲々と生きてきた自分の姿から、娘は結婚に臆するようになったのではないか。子どもを産み育てるという女の幸せを、もっとしっかり伝えるべきだったのではないか。そのうちなどと考えず、早くから縁談を勧めたほうがよかったのかもしれない。ひとしきり沈んだ面持ちで吐き出すと、気持ちを切り替えるように声を高めた。

「私もYさんと同じように、自分がやれるうちはやらなきゃと思います。私が交流会に行くのをやめたら、主人だけじゃなく娘だってもうダメだとあきらめちゃうかもしれないでしょ」