「誇大表現」のように思えたが…

おそらくSさんは礼状を記した母親に自分を重ね合わせ、何度となく読んできたのだろう。くじけたり、断ったり断られたりしながらも成婚できたという内容は、確かに親の心を揺さぶる。

一方でそうした成婚例が〈数え切れないほど〉などと謳う業者には、恣意的なものが感じられた。広告媒体でありがちな〈コレさえ飲めば元気100倍〉といったキャッチコピーと同様に、客観的証拠に基づかない誇大表現のように思える。

実際、Sさんが共有を勧めてくれた親の礼状は一部を切り抜きしたような文面だ。親はどの交流会に何回参加したのか、子どもの年齢や居住地、職業などの具体的情報は記載されておらず、挙式写真も「ぼかし」が入るなど加工されている。個人情報保護という点はあるにせよ、実際どれほどの成婚例があるのかは判然としない。

「業者だってビジネスですから、きれいごとを並べる、大げさに宣伝するという点はあるでしょう」

Yさんは私の懸念を見透かしたように言い、「でもね」とつづけた。

「私はいろんな交流会に出て、代表やスタッフとも話したことがあるんです。確かに何人が結婚したという数字は示されなかったし、そういう意味では信憑性がないと言えますけど、だからって怪しげなものでもありません」

明確な数字や割合を示せないワケ

代理婚活と一口に言っても、その運営方法は業者によって違う。今日のような交流会では親同士の話し合いや身上書交換の場が作られるだけ。その後に親がどうするか、あるいは子ども同士がどうなるか業者は関与しない。子どもの挙式写真や礼状を送る親はいるにせよ、むろん義務ではないから各自の自由だ。すると何人が結婚できたのか、主催した業者には明確な数字がわからない。

中には親が交流会に参加したことをきっかけに、子ども自身が積極的に婚活に取り組むようになり、知人からの紹介や結婚相談所への入会を経て成婚したケースもあるという。先の礼状のように一度は断った相手と別の交流会で再会し、その後に子ども同士が見合いをして無事に結婚というケースもある。そんなふうに業者は交流会後の状況を直接把握できないため、参加した親のうち何人の子どもが結婚した、そういう割合を示せない。

「私が以前の交流会で親しくなった親御さんは、息子さんにご縁がない、断られてばかりだからとやめちゃったんですよ。でもそれから一年後くらいだったかな? 息子さんは転勤先で出会った女性と恋愛結婚したらしいって、別の親御さんから聞かされて。そういう人も含めたら、うまくいった人は多いんじゃないかと思います」

木のテーブルの上に手紙と結婚指輪
写真=iStock.com/Serhii Sobolevskyi
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