「すぐに気が散る」のは失敗ではない

私のクリニックで瞑想を始めてもらったとき、一番多い相談が、「集中し続けることが難しくて、すぐに気が散ってしまいます……」というものです。

瞑想を始めると、たいてい横やりが入るものです。スマホの通知が鳴ったり、誰かの声が聞こえたり。そのたびに気が散ってしまいますね。

もしくは、仕事で気になっていたことや明日の予定、心配事など、次から次へと雑念が湧いてきたりもするでしょう。

しかし、瞑想中の雑念は、決して悪いものではありません。多くの人は、「雑念が浮かんでしまったら、瞑想は失敗だ」と考えがちですが、それは違います。

雑念が出るのは、自然で健全な脳の働きです。脳はもともと「次はどうする?」「あのときは……」と考え続ける器官だからです。

瞑想は雑念を完全に消し去る練習ではなく、雑念に「気付く」練習です。

瞑想中に雑念が浮かんだことに気が付く⇔その雑念を静かに確認してそっと手放し、再び最初に定めた対象に集中する。この繰り返しこそが、瞑想の練習そのものです。

ネガティブ思考から脱却できる

スポーツ選手が日常から地道に練習しているからこそ試合で力を発揮できるように、マインドフルネスも日常的に練習を重ねてこそ、ストレスの場面で自然に効果が発揮できるようになります。

ランニングをする人
写真=iStock.com/lzf
※写真はイメージです

例えば、私たちは何か失敗をしたとき、「なんで自分はこんなにダメなんだろう……」と自分を責めたり、落ち込んだりします。それが過度になれば、ストレスで体を壊したり、うつ病を発症したりしてしまいます。

しかし、先のような「雑念に気付く⇔集中する」といった瞑想を繰り返していると、「今、自分はネガティブな考えを持っているな」と気が付くことができるようになります。

ある考えが体の内側にあると、自分で気が付くことが難しくなるもの。しかし、考えを体の外にとり出すことで、その存在に気が付くことができて、それを外側から冷静に観察できるようになるといったイメージです。

この感覚が定着すると、失敗したときにも自分で自分を過剰に責めることがなくなり、ネガティブ思考のループに陥ることもなくなります。そしてまた、時間が経てば立ち上がることができるようにもなるでしょう。