「セルフオーダー」「モバイルオーダー」で回転率向上
また、店舗オペレーションの効率化も見逃せない。特にここ数年で急速に普及したのが、セルフオーダー端末やモバイルオーダーだ。これらのデジタルツールは単に注文方法を変えただけではない。実は店舗の回転率を高め、収益性を改善する重要な役割を果たしている。
ハンバーガーチェーンのビジネスは、「売上=客数×客単価」という実にシンプルな式で成り立っている。客数を増やすためには、店舗の回転率が重要になる。つまり、同じ席数でも、どれだけ多くの客を短時間で回せるかが売上と利益を左右するのだ。
では、マクドナルドと競合2社との回転率はどれほど違うのか。業界データや店舗観察、平均滞在時間などをもとに推計すると、平均の客席回転数(1席1日)は、マクドナルドが20~25回転、モスバーガーが10~15回転、バーガーキングが15~18回転となる。
同じ席数の店舗でも、回転率が2倍近く違えば、売上ポテンシャルも大きく変わる。セルフオーダー端末やモバイルオーダーの普及は、回転率の向上につながり、人件費の抑制にも寄与している。これにより、利益率の改善が実現されているのだ。
「高品質路線」のモスバーガー
日本のハンバーガー市場は、三つの競争戦略が併存する構造になっている。マクドナルドは巨大な店舗網と効率的なオペレーションを武器にした「コスト優位」を、モスバーガーは食材の品質や安心感を重視する「差別化」を、そして、バーガーキングは、ボリュームのある商品と大胆なプロモーションによって特定の顧客層に訴求する「集中」戦略をそれぞれ取っている。この三つの戦略の違いが、日本のハンバーガー市場の競争構造を形作っているのだ。
この競争構造を詳細に検証してみると、まず、マクドナルドの戦略は、競合であるモスバーガーとは対照的である。モスバーガーは「高品質路線」を掲げ、注文後に調理するアフターオーダー方式を採用している。野菜を多く使ったメニューや、国産食材へのこだわりなど、品質の高さがブランドの核となっている。
しかし、この強みは同時に弱みにもなり得る。注文後に調理する方式は提供時間が長くなり、回転率が下がる傾向がある。結果として店舗当たりの売上を大きく伸ばすことが難しい構造となる。また、マクドナルドほど大規模な広告投資を行うことも難しく、話題性の面ではやや劣ることになる。
では、モスバーガーの強みとは何か。それは、“ブランドの信頼性”にある。健康志向や品質重視は消費者から支持を得ており、価格競争に巻き込まれにくい。つまり、マクドナルドが「規模とスピードのビジネスモデル」であるのに対し、モスバーガーは「品質とブランド価値のビジネスモデル」と言える。

