欧米ではなく東アジアでブーム
米国のGoogleトレンドをみると、MAPPA作の『LAZARUS ラザロ』(※)のほうが、『超かぐや姫!』の4倍ほどのボリュームがある。
(※ Netflix独占ではなく、通常のテレビアニメ的な放送・配信展開をした作品、2025年4~6月期において『炎炎ノ消防隊』や『WIND BREAKER』とともにトップ3で人気を博していたアニメオリジナルの作品である)
Netflixオリジナル内での比較でも、世界的ヒットとなった『範馬刃牙』の総視聴時間は1.6億。『超かぐや姫!』の視聴時間を1000万としても、10倍以上視聴されているのである。
つまり『超かぐや姫!』の大ブームは、あくまで日本(と台湾などの一部東アジア)のみの現象なのだ。なぜだろうか。
では東アジアでの飛び火をどう考えるべきだろうか。台湾のほかに韓国や、Googleトレンドなど各指標には表れないが中国でもWeibo・WeChat・小紅書などで『超時空輝耀姬!(超かぐや姫!)』の流行が確認されている。
東アジアではニコニコ動画やボカロが、日本から5~10年遅れての2010年代半ばに取り込まれていった。
例えば中国では苛烈な競争社会のなかで吐き出された人々が自らを揶揄してデャオスー(Diǎo sī)文化を作り上げた。いわゆる日本の2ちゃんねる、ニコ動的な文化であり、そこに乗っかり2010年代後半に多くの配信者が生まれていった。彼らは約10年遅れで日本的ネット配信文化を身につけ、それが『超かぐや姫!』がもつコンテクストを理解するだけのリテラシーにもなっている。
逆を言えば、まだ限定的な広がりはこの高度な“読み解き”が必要な『超かぐや姫!』に世界各国が追い付いていない、ということすらできる。
他の作品にはない独特のプロモーション
日本での大成功の背景にはネット文化との重ね合わせに加えて、プロモーション・宣伝、そしてUGC(ユーザージェネレイテッドコンテンツ)がある。
通常は巨大作品が軒を連ねるNetflixでは、1作品ごとのプロモーションはリリースの1週間ほど前から大量に撃ち込まれるものがほとんどだった。一気に注目を集め、リリース後の2~3週間目にピークがきて、1カ月もすると次の作品に視線が移ってしまう。
だが『超かぐや姫!』は配信の約2カ月前ともなる11月上旬からX、YouTube、TikTokで、メインキャラクターのかぐや、いろは、やちよのMVが走り始め、上記の3メディアもそれぞれに合う形で使い分けをされていた。
途中から3DCGのお披露目と、ぬるぬる動く様子はまるで「にじさんじ」やホロライブのVTuberデビューのような進化も感じた。ネット世代に刺さる広告コンテンツ、導線設計が徹底されていると感じた。
きわめつけはコラボである。そもそも主題歌がボカロPの黎明を開いたRyo(Supercell)による名曲「ワールドイズマイン」(2009)をアップデートしたものであり、その後「歌ってみた」でAqu3raや40mPなど有名ボカロPの楽曲を歌い合わせ、それぞれ100~200万再生といった視聴数を獲得。

