内容は超現代版「かぐや姫」
『超かぐや姫!』では、『竹取物語』という日本人の誰もが知る古典をベースにしながら、“奥ゆかしさ”からの程遠いかぐや姫はさまざまな魔改造が施されている。
舞台は近未来の日本。多忙な女子高生・酒寄彩葉が、現代の「ゲーミング電柱」から現れた不思議な少女・かぐやと出会い、仮想空間「ツクヨミ」で音楽配信活動を通じて絆を深める物語だ。
女子高生に百合風味、VTuber・ライバー、ボカロ、メタバースという現代の日本ならではの概念をこれでもかと作品に盛り込み、底抜けに明るいサイバーパンクはまるで令和における超訳版『竹取物語』である。
まるで1980年代に東京の未来を描いた『AKIRA』の令和版の描きなおしのようにも感じられた。人口爆発・バブル期絶好調にあった日本で『AKIRA』は行き過ぎた都市社会へ警鐘を鳴らしていた。
『超かぐや姫!』は、高齢化・環境変動・国際情勢不安という過酷にみえる2020年代の現在地で、むしろデジタルとクリエイターエコノミーのもつカオス的な明るさで将来を照らす。
根底にあるのは2ちゃんねる文化
『超かぐや姫!』の企画が進みはじめたのは2022年夏、ちょうど『ONE PIECE FILM RED』が大流行していたころだ。後に『超かぐや姫!』の監督となる山下清悟氏や企画スタッフ陣は、当時、Adoが熱唱したウタに魅了され、ボカロというコンセプトを入れようと決めたという。ただ、決してボカロ自体に詳しかったわけではない、と聞く。
ボカロなど、2022~25年の日本で新しいカルチャーが百花繚乱となった時代の根底には、ネット界の「古典」ともいうべき2ちゃんねるやニコ動や初音ミクがある。
『超かぐや姫!』の真骨頂は、物語としての古典とネット文化における古典を掛け合わせ、コロナ後のクリエイターワンダーランド的なサービス群で味付けをしたことにある。
制作を担当したのは、17ものスタジオを有する日本最大級のアニメグループ「ツインエンジン」だ。同社とNetflixの協働は今回が初めてではない。『雨を告げる漂流団地』(2022)や『好きでも嫌いなあまのじゃく』(2024)、どちらの作品もリリース後の約半年間で500万時間ほどの総視聴時間で、あくまでNetflix内での視聴ベースでは『超かぐや姫!』と実はさほど変わらない。
欧米のアニメ好きのWikipediaともいえるMy Anime Listでは『雨を告げる漂流団地』が8.4万人登録で、作品の評価となるScoreは7.32。『超かぐや姫!』は6.7万人登録の評価Score8.51となっている。
評価こそ上回りながら登録者ベースでは『雨を告げる漂流団地』のほうが多い。欧米からみれば『超かぐや姫!』は決して特別なものではなく、「ツインエンジン制作で一定の視聴を獲得している3作品の一つ」という評価にすぎない。


