仕事の進捗状況を聞いただけなのに、「すみません」と反射的に謝る部下は何を考えているのか。心理学者の榎本博明さんは「自己防衛意識が異常に強い。失敗したときの傷つきを最小限にしようと、あの手この手で自分にハンディをつける傾向がある」という――。

※本稿は、榎本博明『【新装版】かかわると面倒くさい人』(日経プレミアシリーズ)の一部を再編集したものです。

ビジネスマンの握りしめた手
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言い訳ばかりで話が進まない

自己防衛意識が異常に強く、不必要な言い訳が多かったり、保身的な姿勢が強い人物も面倒だ。

このタイプの部下がいると、何かにつけてイライラさせられる。

上司としては部署全体の仕事の状況を把握しておく必要があるため、声をかけて仕事の進行状況を尋ねると、

「すみません、急いでやりますから、もう少し時間をください」

と言う。

「いや、べつに急かしてるんじゃなくて、どんな状況か、教えてほしいんだ」

と言い直しても、

「すみません、顧客からの問い合わせで手こずっちゃって、ちょっと遅れてるんです」

と言い訳をするばかりで、進行状況を軽く確認するにも無駄に時間がかかってしまう。

仕事の段取りについてちょっとわからないことがあり、

「どういうことなのか教えてもらえる?」

と説明を求めたときも、

「いや、私はそれはやはりまずいと思ったんです。で、そう言ったんですけど、急いで進めるべきだっていう意見が強くて……」

などと、しどろもどろになる。こちらは非難するつもりはなく、事実を確認したいだけなのだが、言い訳ばかりで話がなかなか先に進まず、どうにもまどろっこしい。

仕事を振ると、いちいち“渋る”

このタイプは、あからさまに「セルフ・ハンディキャッピング」をすることもある。

セルフ・ハンディキャッピングとは、印象操作の一種で、万一失敗したときに無能なヤツだと思われないように、あらかじめ自分にハンディを負わせることである。

たとえば、課題の難しさを印象づけるべく、困難と考えられる根拠を並べ立てる。

「諸々の情勢を考えると、非常に難しいとは思いますが、全力を尽くしてみます」

などと情勢的にハンディがあると印象づけておけば、全力を尽くした揚げ句に万一うまくいかなくても、無能とみなされる可能性は低い。元々無理を承知の上でチャレンジしたといったイメージを演出するのだ。

自分のコンディションの悪さを強調するやり方もある。

「このところちょっと集中力が落ちてる気がするんですけど、とにかく頑張ってみます」

などと自分にハンディを負わせておくことで、頑張ってもダメだったときの傷つきの軽減をはかるわけだ。

その他にもいろいろなやり方がある。

たとえば、大まかな期限を定めて仕事を振ると、

「はい、わかりました」

と言いながらも、

「じつは、今、急ぎの仕事があって、あの……顧客から依頼されてるヤツなんですけど、うるさい客なんで、そっちにちょっとエネルギーを注がなきゃいけなくて……」

などと忙しさをアピールする。