LNG備蓄はわずか2〜4週間分

同じ危機に直面するアジアの主要国の間でも、耐久力には大きな差がある。

CNBCが複数の調査機関のデータを基に報じたところでは、中東産原油への依存度は日本が75%、韓国が約70%に上り、ともに供給元が中東に集中している。LNG在庫は日本が約440万トン、韓国が約350万トンにとどまり、安定需要を前提にすればわずか2〜4週間分で底をつく計算だ。

海洋を進むコンテナ船の空撮
写真=iStock.com/Suphanat Khumsap
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国際決済大手コンベラのアジア太平洋担当マクロ・FX首席ストラテジスト、シア・リー・リム氏は、エネルギー輸入依存度の高い日本や韓国型の経済は、供給ショックの影響を受けやすいと指摘する。

一方、世界最大の原油輸入国である中国は事情が異なるという。

米CNBCによると、原油輸入の約40%がホルムズ海峡を経由し、LNG輸入の約30%もカタール・UAEが占めるなど、湾岸への依存は小さくない。ただし、中国国内での原油生産に加え、ロシアや中央アジアなどからパイプラインで陸上調達できるため、海上輸送が途絶えた際の耐性は高いとされる。

2月末時点のLNG在庫も760万トンと、日韓合計(約790万トン)に迫る水準にある。ケプラーの主任アナリスト片山剛氏は中国について、「実質的なリスクにさらされているが、対応の柔軟性は高い」と評価している。

一方、南アジアに目を向けると、日本よりもさらに深刻な国が存在する。片山氏はパキスタンやバングラデシュについて、貯蔵能力も調達の柔軟性も乏しいと警告する。インドについても、LNG契約の多くが原油価格に連動するため、原油価格の急騰が石油・LNG双方の輸入コストを押し上げる二重のショックに見舞われるとみる。

原発事故後に進んだ化石燃料依存

なぜ日本はここまで脆いのか。その答えの一端は、エネルギーミックス(電源構成)にある。

ゼロカーボン・アナリティクスは、福島原発事故(2011年)後に日本とドイツが対照的な道を歩んだと分析している。両国とも原発を停止したが、ドイツは再生可能エネルギーの急拡大で対応し、電力に占める再エネ比率を2010年の16.9%から2024年には58.8%へ引き上げた。

日本は原発停止の穴を化石燃料で埋める道を選び、電力に占める化石燃料比率は64.5%から68.8%へむしろ上昇した。再エネにも発電量が天候に左右されるなど課題は多いが、ことホルムズ海峡に関しては、化石燃料への依存が裏目に出た。

同分析が引用するブルームバーグNEF(ブルームバーグ傘下のエネルギー専門調査機関)の推計では、2010〜2022年に日本が化石燃料の輸入に費やした額は累計約1兆8000億ドル(約280兆円)、GDP比3%超に相当する。言い換えれば、海外に流出した資金の量でもある。

このように、日本は島国という事情に加え、エネルギーミックスの課題を抱える。一方、次に挙げるような独自の強みもあると分析されている。