3月2日、イラン革命防衛隊の上級司令官がホルムズ海峡の封鎖を正式に宣言。通過を試みたならば、あらゆる船舶を攻撃対象にすると警告した。米ビジネスニュース専門局のCNBCがイランメディアの報道として伝えている。
ホルムズ海峡はイランとオマーンの間に位置する狭い水道で、世界の石油海上貿易の大動脈にあたる。エネルギーコンサルティング会社ケプラーの集計では、2025年には日量約1300万バレルの石油が通過し、海上原油輸送全体の約31%を占めている。封鎖が長期化すれば、原油が1バレル100ドル(約1万6000円)を超えるとの見方もある。
原油に加え、天然ガスの供給網も打撃を受けた。世界有数のLNG供給国カタールでは、イランのドローン攻撃により、LNG生産・輸出の中核拠点である工業都市ラスラファンとメサイードのLNG施設で生産が停止した。
ケプラーの推計では、ペルシャ湾経由で輸送される世界のLNG輸出量は全体の約20%に達する。日本のエネルギー供給は、原油とLNGの双方で途絶リスクにさらされている。
電気・ガソリン値上がりの懸念
もっとも、パニックに陥る必要はない。高市首相は3月2日、日本は約254日分の石油を備蓄していると国民に説明している。これはIEA(国際エネルギー機関)が加盟国に義務づける備蓄基準90日分の約3倍にあたる。
それでも、原油の高騰が続けば、日本の家計への打撃は避けられない。ディプロマットによると、3月2日の原油市場では国際指標のブレント原油が1バレル約82ドル(約1万3000円)、アメリカ産標準油種のWTIが約72ドル(約1万1000円)へ急騰し、上げ幅は4年ぶりの大きさとなった。
ブルームバーグによると、野村総合研究所のエグゼクティブ・エコノミスト、木内登英氏は、完全封鎖には至らずとも混乱が長引くと仮定した場合、GDP成長率が0.18ポイント低下し、インフレ率が0.31ポイント上昇するとの試算を示している。原油が1バレル87ドル(約1万4000円)へ上がるとの仮定だ。
ゼロカーボン・アナリティクスが各機関の見通しを整理したところ、JPモルガンは封鎖時の原油を1バレル130ドル(約2万1000円)、イラクのフアード・フセイン副首相兼外相は200〜300ドル(約3万2000〜4万7000円)と予測する。
イギリスのオックスフォード・エネルギー研究所は、封鎖が1年続けば日本のLNG価格が約170%急騰すると試算した。
日本国内では、2022年の高騰も記憶に新しい。ロシアのウクライナ侵攻に伴い、一般家庭の電気代は平均25.8%上昇し、ガソリンは1リットルあたり170円台後半に達した。元売り各社への補助金がなければ200円を超えていたとの指摘もある。
政界ではすでに、重要な課題との認識が広がる。自民党の鈴木俊一幹事長は3月1日のテレビ出演で、「エネルギー、原油、LNG、ホルムズ海峡がどうなるかという問題は日本経済に甚大な影響を与える。国民の日常生活にも大きな打撃となる」と述べ、党として情勢を注視する考えを強調した。ブルームバーグが伝えている。

