優先順位が付けられない病理
エネルギーは、金融と物流に並ぶ経済の血液である。その血液なくして経済活動はままならないのだから、本来ならば最優先されるべき政策だ。しかし欧州委員会は、あくまで原発推進を脱炭素の中に位置づける。あくまでメインエンジンは再エネで、天然ガスと並ぶサブエンジンの位置づけに、原発を引き上げたといったところが正しい。
その欧州委員会は、脱炭素のみならず、競争力と軍事力の追及も重視する。つまり環境政策と競争政策、軍事政策を同時に追求しようというわけだ。競争政策の念頭には中国がある。中国製の廉価な工業品に対して、欧州製の工業品はもともと劣位だった。さらに人件費高とエネルギー高が重なり、欧州の工業品は競争力を大きく失うに至る。
競争力を改善させるためには、設備投資を引き上げ、生産性を高める必要がある。そのための支援の必要性を、欧州委員会は声高に主張する。一方、軍事政策の念頭にはロシアと米国がある。米国からの圧力で軍事的な自立の必要性に目覚めた欧州委員会は、各国による防衛力強化のための支出増を容認するなど、防衛体制の強化に着手した。
ここから先は無料会員限定です。
無料会員登録で今すぐ全文が読めます。
プレジデントオンライン無料会員の4つの特典
- 30秒で世の中の話題と動きがチェックできる限定メルマガ配信
- 約5万本の無料会員記事が閲覧可能
- 記事を印刷して資料やアーカイブとして利用可能
- 記事をブックマーク可能
