小売り業が121社ランクイン

ワースト500社のうち、前年から最も平均年収をもっとも減らしたのがフジ(411位)だ。持株会社から事業会社への変更があり、227.9万円の減少で488.8万円となった。

同社は広島市に本社を構え(本店所在地は松山市)、中四国地方で最大手のスーパーチェーンを手掛ける。2023年2月期にマックスバリュ西日本を経営統合、翌2024年にフジ・リテイリングとともに吸収合併している。マックスバリュ西日本の平均年収は540.6万円(2021年2月期)で、フジの平均年収が大きく減少した背景には、この吸収合併があるとみられる。

「吸収合併とはいえ、実質的な支配権はマックスバリュにある。もともとフジが拠点にしているのは四国で、勢力圏を拡大しようにも本州は競合が多いため、マックスバリュ・イオンの力を借りてどう戦っていくかが今後のポイントだろう」(中井氏)

フジを含め、小売業はワースト500に121社がランクインしており、10社だったトップ500社とは対照的だ。121社の平均年収は443.4万円と、ワースト500社の平均を下回っている。

そんな中で気を吐いたのが、402位のマルヨシセンターだ。ワースト500社のうち、3社しかない前年比で平均年収が100万円以上増加した企業の一つである。平均年収は103.3万円増えて、488.3万円となった。

中井氏は「小売業界、特にスーパー業界は労働分配率が低い。価格転嫁の難しさに加え、高熱費や人件費の高騰が追い打ちをかける形で、今後は地場スーパーの淘汰が進んでいくのではないか」と分析する。

賃上げでも広がる格差

小売の他、ワースト500社とトップ500社を比較したときに顕著な差がみられたのがサービス業だ。ワースト500では145社がランクインした一方、トップ500では39社にとどまった。ワースト10社のうち6社を占めており、ワースト500に名を連ねたサービス業の平均年収は439.4万円で小売業より低い。

業界格差でいえば、ワースト500にランクインしなかったのが「海運業」「空運業」「鉱業」「証券、商品先物取引業」「石油・石炭製品」「保険業」だった。

年収が400万円を下回ったのは68社。前回の103社から7割程度まで減少した。一方で日本人の平均年収である478万円を下回ったのは338社で、前回の329社から増加した。着実に賃上げが進んでいる一方で、物価高や上位企業との格差が明確に広がっていることがうかがえる。