2代連続の総統逃亡

最初の日本軍の派遣団が現れると、この自称政府は即座に逃亡し、怒った民衆は彼らの建物に火を放った。唐自身は、軍事視察という口実で港を訪れ、ちょうど出港しようとしていたドイツの船にさっと飛び乗った。このことで、彼は「10日総統」というあだ名をつけられた。

ギデオン・デフォー『新版 世界滅亡国家史』(サンマーク出版)
ギデオン・デフォー『新版 世界滅亡国家史』(サンマーク出版)

日本軍の小隊は1日で首都を占拠したが、島の南部はもう少し粘り強い抵抗を見せた。やがて、やり手の軍人で「黒旗こっき軍のりゅう」と呼ばれていた劉永福りゅうえいふくが新しい総統になった(彼も気が進まなかったようだ)。

彼は日本側と交渉を始めようとしたが、日本側は消極的だった。ほどなくして、この2代目も本土へと逃げ出した。なんと、ぼろを着て、難民になりすましての逃亡だった。

2日間の大混乱で500人が殺されたあと、商人と店の経営者のほとんどが日本の占領を受け入れはじめた。日本に支配されても、2人の総統のときより悪くなることはないと踏んだからだ。

短命に終わった共和国の遺産は奇妙なものだ。中国の一部でありつづけようとしたこの国の国旗は、今では独立を求める人々にとってのシンボルになっている(もしかしたら、陽気で利口そうなトラが描かれていることが理由かもしれない)。

台湾民主国の国旗(1895年)
台湾民主国の国旗(1895年)(写真=Henry Szytko/CC-PD-Mark/Wikimedia Commons

また、台湾人はこの経験から、いざというときには中国もほかの国も味方をしてくれないことを学んだようだ。

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