野党に「責任転嫁」するシナリオ
仮説②:「やらない言い訳」としての国民会議
さらに歩を進めてみると、より辛辣な読みもあります。国民会議を野党が不参加ないし不同意のまま推移させ、最終的に「超党派の合意が得られなかったので実施を見送る」という着地に持っていくシナリオです。「いやー、やろうと思ったんだけどなー、野党が協力してくれなくてさー、残念だなー。まいったまいった」という感じでしょうか。
この仮説を裏付けるのが、高市さん自身の発言パターンです。衆院予算委員会で消費税減税の実現について問われるたびに、「野党の協力が得られたら」「国民会議で結論を得る」という条件を繰り返し付けています。3分の2を持つ政権の首相が、なぜ野党の協力を減税実施の条件にするのか。普通に考えれば不自然です。
中道改革連合や国民民主党が参加を躊躇しているのも、まさにこの点への警戒からでしょう。参加して議論に加わった結果、合意に至らなかった場合、「野党が反対したから減税できなかった」と責任転嫁される。あるいは参加したこと自体が、政権の政策に「お墨付き」を与えたと利用される。どちらに転んでも野党にとってはリスクしかない構図です。
先にも述べた通り、これらの国民会議云々以前に、そもそも何かをやり繰りして10兆円を超える財源を捻出するという当初方針自体に無理があります。ここからさらに防衛費の捻出も控えていることを考えれば、最初からやる気がなかったのを責任転嫁するための国民会議なんだろと勘繰られても仕方がない面があります。
東京新聞の社説が「国民会議に具体策検討を『丸投げ』するのは無責任極まりない」と書いたのは、この構造を正確に言い当てています。
仮説③:自民党内の財政規律派との調整弁
もう一つ見逃せないのは、自民党内の力学です。
党内には消費税減税に慎重な勢力が根強く残っています。衆院選の公約でさえ「検討」止まりだったのは、財務省や党税調の抵抗が強かったからです。自民党が掲げる公約をめぐって、政調会長で元税調インナーの小林鷹之さんが高市早苗さんの考えに納得せず、党内で大変な激論となり、廊下にまで聞こえてきてみんなニヤニヤしてたりしました。
もちろん、選挙での圧勝によって高市さんの求心力は高まりましたが、だからといって党内の財政規律派を完全に黙らせたわけではありません。いわば、高市早苗さんの本当の政敵であり、懐柔するなどして協力を引き出さなければならないのは野党ではなく、むしろ与党のリアリストたちだという面は見逃せません。

