数の力だけでは越えられない壁とは
最後にもう一つ、見落とされがちな文脈があります。参議院の存在です。
衆院では3分の2を超えている与党ですが、参院では過半数に5議席足りません。2月の首相指名選挙でも、参院では1票足らずに決選投票にもつれ込んでいます。消費税法の改正は衆院の再議決で通すことは可能ですが、政治的なコストは小さくありません。
参院で国民民主党(25議席)や公明党(参院のみ)の協力を得られれば、予算案だけでなく重要法案の円滑な審議が可能になります。あくまで、数字上は。そのため、国民会議は、法案提出前の段階でこれらの勢力を取り込み、参院での抵抗を事前に和らげるための「お膳立て」という側面もあるでしょう。
3月3日に公明党の竹谷とし子さんが「参加する方向で検討している」と表明し、中道の階猛さんも「環境が整ってきている」と述べたのは、この参院対策の文脈で読むと合点がいきます。高市政権が国民会議の間口を徐々に広げているのは、衆院の数の力だけでは越えられない参院の壁を意識しているからにほかなりません。
「高市イズム」を感じさせる動き
ただ、そこには伝統芸的な与野党間での国対での調整というお座敷の問題があって、高市早苗さんが野党の立場を尊重しようとする梶山弘志さんから器用に話が進められる萩生田光一さんに国対委員長をスイッチさせようとして、いまや自民党の良心とも言える幹事長・鈴木俊一さんに止められたのもまた、このような参院への配慮よりも自らが決めたことの実現を優先させたい高市イズムみたいなものを感じさせます。
改めて整理をいたしますと、高市政権の「国民会議」は、法的には不要で、政治的には複数の機能を同時に果たそうとしている座組です。そもそもそんな国民会議なんてアリバイでしかないんだから要らないんじゃないかという声も大きく、横で見ている私なんかもそう思います。
党内や野党への配慮にせよ制度設計上の工夫の問題にせよ、国民会議なんてやってないで国会で論争すればそれでいいじゃないですか。それで無理なら消費税減税など間に挟まず粛々と給付付き税額控除をダイレクトに決めて、それができる法制を今国会で決めちゃえば問題ないでしょう、という。

