「9条問題」の解決は先送りできない

何よりもまず、国際社会は激変しており、9条問題解決を日本はもはや先送りできない状況にあることを直視すべきである。

ロシア・中国・北朝鮮など、日本海を隔てて目と鼻の先にある「核武装した強軍国家」が、専制的指導者の下で日本への敵対的姿勢を強めている。

それだけではない。トランプ政権下の米国は、中国・ロシアに懐柔的姿勢を見せる一方で、逆に、欧州・カナダ・日本・韓国・オーストラリアなど同盟諸国に対して関税問題だけでなく安全保障問題についても専横かつ敵対的な圧力をかけ、グリーンランド割譲やカナダの米国併合など領土要求まで、軍事的手段使用の可能性すらちらつかせながら、執拗に突き付けている。

さらに、ヴェネズエラ侵攻、イラン侵攻など、国際法を全く無視した実際の軍事介入も奔放化させている。G7からG2へという米中2国による世界分割統治体制への移行さえ、トランプはほのめかしている。

ミサイル
写真=iStock.com/vadimrysev
日本への敵対的姿勢を強めている(※写真はイメージです)

世界は「米国依存からの脱却」に進んでいる

こうした動きはトランプ政権の間だけのものではないだろう。米国でトランプが一旦失脚した後、捲土重来けんどちょうらいして政権を再獲得した事実は、第二次トランプ政権終焉後も、第二、第三のトランプが再出現する可能性のある政治風土が、いまや米国に浸潤していることを明らかにした。

これまで、現実主義者を自認する人々は、「米国による平和(パックス・アメリカーナ:Pax Americana)」と呼ばれた米国主導の戦後国際秩序について、ルールに基づく国際社会秩序という国際公共財を確保する責任を米国が曲がりなりにも――かなり曲がってはいるが、それなりに――背負ってきた点で、「最小悪の覇権国(the least evil hegemon)」だとして信頼してきた。

だが、現実主義者たちの間でも既に米国へのこの信頼は失われ、「パックス・アメリカーナ」の終焉が語られている。

いまや欧州諸国・カナダは経済・軍事両面でこれまでの対米依存偏重からの脱却を検討しつつある。日本も、日米安保体制下での日本防衛への米国側のコミットメントを信じて疑わないという従来の「米国依存症的願望思考」からの脱却を検討すべき時期に来ている。