「アプリの一時的な利用停止」も検討すべき

また、これから具体的に進められる施策としては、アプリの一時的な利用停止があげられます。これは単に反省の意を示すためのものではなく、第三者委員会による調査結果が出るまではサービスを停止する、という判断です。

なぜなら、山本氏やマツキ氏のような人物が、いま現在も連載している可能性が否定しきれない状況にあるからです。読者としても、そうした問題のある漫画家や原作者の作品を知らずに読んでしまうことに対して心理的な抵抗感があると考えられますし、執筆している別の漫画家としても「あの作家も性加害を行ったのではないか」と周囲から見られてしまうリスクがあります。

そうした問題を打開するためにも、一度マンガワンのサービスを止め、すべての事実関係が明らかになってからクリーンな状態で再開するという姿勢を示すべきです。

東京都千代田区にある小学館ビル。2016年12月25日撮影。
東京都千代田区にある小学館ビル。2016年12月25日撮影。(写真=Kounoichi/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

逃げれば逃げるほど、企業のリスクは高まる

そして、失われた信頼を取り戻すためには、事実関係を徹底的に明確にしたうえで、二度と同じ過ちを繰り返さないよう「ここまでやるのか」と世間が驚くほど、やりすぎなぐらい徹底した再発防止策を打ち出す必要があります。

具体的には、現在取引のある漫画家や原作者に対するコンプライアンスチェックを徹底するなど、人と予算を割いて誠実に対応するべきでしょう。

さきほどお伝えしたように、企業不祥事では逃げたり嘘をついても状況はまったく改善されません。それどころか、今回の問題のようにSNSで批判が高まっていった場合、企業が都合の悪いことを隠そうとしているそぶりを見せれば、それを暴こうとする流れがSNSで盛り上がる可能性が非常に高いです。隠せば隠すだけ、企業側のリスクが高まるのです。

小学館が誠実に対応するのか、それとも都合が悪いことには目を背けてしまうのか。

3月9日、小学館は「被害に遭われた方への謝罪と、 人権尊重のための小学館の取り組みについて」と題したリリースを公表しました。リリースでは被害女性に謝罪する機会を得たことや、具体的な謝罪内容を明らかにし、再発防止策を具体的に進めていくことを表明しています。

被害者女性に謝罪し、再発防止に取り組むというメッセージを打ち出したことは評価できるものです。ですが、効果的な再発防止策を実行していけるかは、小学館が今回の問題に真摯に向き合えるかどうかにかかっています。

いずれにせよ、メディア企業の不祥事が続いているなかで、今回のマンガワン騒動における小学館の不祥事対応もまた、多くの人々の信頼を失うものであったことは間違いないでしょう。

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