「フジテレビ問題」との共通点
小学館の対応からは、メディア企業ならではの根深い弱点が見えてきます。
かつてフジテレビが不祥事を起こした際にも同じような問題が指摘されましたが、メディア企業は日常的に「取材する側」に立っているため、いざ自分が「取材される側」や「追及される側」に回ったときの危機管理や広報力が決定的に不足しているのです。
自分たちの媒体を通じて告知さえすれば何とかなるという、身内向けの甘い論理から抜け出せていません。世間のコンプライアンスに対する意識は、ここ数年で加速度的に高まっています。一昔前なら通用したかもしれない「この業界では当たり前のことだ」という閉鎖的な常識は、もはや社会では一切受け入れられません。
とりわけ未成年への性加害という極めてデリケートかつ重大な問題に対して、自浄作用を的確に働かせることができなかった点は致命的です。性加害の問題は、ジャニーズ問題やフジテレビ問題など世間を大きく騒がせてきました。
むしろ、そうした問題を報じる側にある企業が、性加害の問題を適切に理解せず、社会が企業に求める高い倫理観のレベルに自らをアップデートできていなかったことが、今回の大炎上を招いた要因のひとつだと言えるでしょう。
信頼回復のために真っ先にやるべきこと
では、小学館が信頼を失わないためには、具体的にどう動くべきだったのでしょうか。
もし今回の問題に関する事実確認がある程度進んでいたのであれば、初期の段階で経営責任者である社長が主体となって記者会見を開くべきでした。間違いなく厳しい批判が飛び交う会見になったでしょうが、トップが自ら矢面に立って明確なメッセージを出していれば、離れていった漫画家さんたちの印象も大きく違ったはずです。
記者会見はどうやっても「負け戦」です。会見を開いたからといって大幅に企業イメージが改善するわけではありません。ただ、会見を開くことで問題の鎮静化を早めることができる場合があります。今回の騒動によってマンガワンからは多数の漫画家が作品の引き上げを表明していますが、このまま問題が長引くとマンガワンは書き手を失いかねません。
問題を長期化させないためにも、社内調査で判明した事実をもとに、社長自らが事実を公表し、誠実に謝罪し、再発防止策を実行していくことを約束すれば、小学館やマンガワン編集部に対する印象はいまよりも悪くならなかった可能性は十分にあります。

