「謝罪の基本」をまったくわかっていない
不祥事が起きた際、企業が真っ先に出すリリースは極めて重要です。ですが、2月27日にマンガワン編集部が出した「『常人仮面』配信停止に関するご説明とお詫び」というリリースは「謝罪しているのに、何に対して謝っているのかわからない」ものでした。
リリースには「本来であれば起用すべきではありませんでした」とありますが、なぜ本来であれば起用すべきではないのか、なぜ山本氏の場合は起用してしまったのか、ということがこの文章だけを見てもまったくわかりません。また、マンガワン編集部、あるいは小学館として、いつの段階で過去の犯罪を認識していたのか、といった肝心な経緯も一切書かれていませんでした。
次に、一度は「社長室」という名義で発表され、その後小学館の名義に修正され公表された「マンガワンにおける原作者起用について」という2月28日に公表されたリリースでは、「重大な瑕疵があった」と表現していますが、具体的にどんな瑕疵があったのかは不明なままです。
謝罪をするのであれば、まずは自分たちが把握している事実関係を包み隠さず伝えることが重要です。企業不祥事においては、会社としてどこまで事実を確認できているのかを明確にすることが重要です。
「どこに問題があったのか、誰に責任があるのか」ということを明確にしなければ謝罪は成立しません。
「金曜午後の謝罪」はもう通用しない
かつての企業広報では、不祥事のリリースを「金曜日の午後」に出すのが定石だったそうです。SNSがない時代に企業不祥事を追及したのはテレビと新聞でしたが、週末になればワイドショーも放送されなくなるため、世間の怒りが落ち着いたタイミングで次の手を打っていたようです。
今回のマンガワンの件でも、アプリ上で最初の謝罪リリースが出されたのは2月27日金曜日の17時でした。しかし、いまの時代にこの手法はまったく通用しません。
SNSが発達した現代において、情報拡散に平日や休日は関係ないからです。むしろ、週末に逃げ切ろうとするような旧態依然とした対応をとること自体が、「批判から逃げている」「事態を軽く見ている」と見なされ、かえってネット上で激しく叩かれるための燃料を投下する結果になってしまうのです。
そもそも、マンガワンの炎上は新聞やテレビではなくSNSによって拡散していったものだったため、こうしたマンガワン編集部側の対応に対してさらに炎上が加速していきました。SNS時代の不祥事対応では、問題から逃げずに、誠実に事実関係を明らかにして謝罪するのがもっとも効果的なのです。


