若い世代の約5割が音響性難聴のリスク
なお、難聴は、若い人にとっても他人事ではありません。なぜなら、普段から大音量にさらされていると、難聴になりやすいことがわかっているからです。
難聴の人はテレビの音量などもかなり大きくしないと聞こえませんが、反面、難聴になる最大の理由は大音量に長くさらされていることなのです。
実際に、工事現場など騒音がひどい環境で働いている人は「騒音性難聴」になりやすいことがわかっています。
そして、最近増加にあり、国際機関も警鐘を鳴らしているのが「音響性難聴」です。
すでに2015年には世界のおよそ3億人が難聴に罹っており、2050年までに12〜35歳という若い世代の約5割が音響性難聴のリスクにさらされるとWHOは分析しています。
電車の中で音楽を聴くのは楽しいでしょうが、イヤホンで大音量を耳に押し込む時間は、なるべく短くしたほうがいいでしょう。
仕事関係だけが自分の「社会」にしない
聴覚に限らず、視覚、嗅覚、味覚、触覚と、五感をフル活動させるような刺激が、脳の健康維持には必要です。
そうした刺激とともに、楽しい時間を過ごしたり、新しい知識を得たり、心を揺さぶられるような体験をしたりすることで、脳も大いに活性化されます。
こうしたことは、ひとりでも可能ではあるものの、さまざまな社会的つながりのなかでより強化されます。実際に、いくつかの信頼がおける研究で、社会的つながりが減ると認知機能が衰えていくことがわかっています。
すなわち、脳を大切に考えるなら、なるべく孤立することなく社会的つながりのある環境に自分の身を置くことが大事です。
このとき、それを「仕事関係」だけに絞らないことがとても重要です。
とくに、バリバリ働いて成果を出しているような男性に、仕事関係だけが自分の「社会」となっているケースが多く見受けられます。
こうした人が定年などで仕事から離れると、一気にその社会を失います。そして、いろいろな人と会話を交わす機会が減り、見た目も脳もあっという間に老けこんでしまうのです。
一方で、女性の場合は男性とは異なります。女性は仕事以外でも、もともと地域活動や子育てなどを通して自分の社会を形成しています。子どもの手が離れてからも、趣味のサークルなどによって社会を広げていく傾向があります。
だから、男性と反比例するように、年齢を重ねるほど精神的に元気になっていく女性が多いのです。あなたが今、働き盛りで仕事のことで頭がいっぱいだったとしたら、そういう自分にこそ「危険サイン」を送りましょう。意図的に多方面に関心を向け、居場所をたくさんつくっておきましょう。
「あれ、仕事以外には親しくできる人がいないな」と気づいてからでは遅いのです。「地域活動などに参加するには、自分はまだまだ若い」と感じているくらいのときが、実は最適です。

