野球をする人口は減る一方

大谷がメンバーから外れれば、侍ジャパンの人気、注目度は一気に下落するだろうし、チケットの売り上げも下がるだろう。

例えば次世代のスター選手を独自に育成するイベント、プログラムを立ち上げるとか、韓国、台湾とともにアジアの野球を盛り上げるとか侍ジャパンのブランド力を高める動きは、ほとんど行われていない。

プロ野球の観客動員は好調だが、それは各球団の営業努力であって侍ジャパンとは基本的に無関係だ。

一方で、日本国内では「野球離れ」が止まらない。

高校野球の選手数は2014年の17万人をピークとして下がり続け、昨年は12.5万人と26%も減少した。中学校軟式野球部は2001年には29.1万人だったが、昨年年は約13万人と45%の減少。

さらに小学校軟式野球部(スポーツ少年団)は、2010年には18.8万人だったのが昨年は10万人と47%の減少。こうした数字は少子化のペースをはるかに上回っている。

若い世代も侍ジャパンには強い関心を持っているが、それが「野球をやる動機」には結びついていない。

結局、大谷頼みなだけ

2024年、小学校の競技人口が、9.9万人から10万人へとわずかに増加した。関係者によるとこれは23年オフに当時エンゼルスの大谷翔平が「野球しようぜ!」と、全国の小学校にニューバランス社製のグローブを寄贈したことが影響しているのではないかとのことだ。

大谷翔平が配ったニューバランス社製グローブ
筆者撮影
大谷翔平が配ったニューバランス社製グローブ

本来侍ジャパンが率先すべき普及活動でさえも「大谷さん頼み」になっているのだ。

今の侍ジャパンを運営するNPBエンタープライズは、NPBとNPB12球団が出資して2014年に発足した。プロ野球から大学、高校、中学、小学校、女子野球が同じ侍ジャパンのユニフォームを着ることで「オールジャパン」の一体感を高め、野球の裾野を広げようという大きな目的があった。

しかし実態としては「プロ」だけがひとり繁栄して、その恩恵はアマチュアレベルにはほとんどおりてきていない。

野球人口の裾野はどんどん小さくなっているのに、トップだけが繁栄しているのはいかがなものか。しかも自らの努力というより「大谷景気」にあやかっているのが実情だ。

日本のWBC連覇も大事な話だろうが、大谷翔平がいる今、彼が選手でいることの恩恵をもっと日本野球全体にもたらす方策を、真剣に考えるべき時がきている。

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