インスタの発信方法を変えたらフォロワー70倍
“崖っぷちの1年”を何とか無事に乗り越えた春田さん。そこから次なる進化を見せたのが冒頭に紹介したInstagramの運用である。2024年秋ごろまでにわずか1500人だったフォロワーを、たった1年半で11万人にまで急成長させた。直近1年間で約70倍という驚異的な数字だ。
フォロワー数が伸びた要因は、発信するコンテンツを単なる店や商品の宣伝から、「食の安心安全」という社会的関心の高いテーマに切り替えたことだ。単なる「意識高い系」の発信で終わらず、妹の死や、自身や家族のアレルギーの経験に基づいた話しぶりは不器用ながら人を惹きつける力があった。
例えば、みりんについての動画では次のような解説を行う。
原材料を見てもらいたいです
もち米、外国産が多い
そしてなんでちゃんとした発酵を作るのにアルコールが必要⁉
このアルコール原材料 ほとんど遺伝子組み換えのトウモロコシ
そしてちゃんと発酵しないからぶどう糖果糖液糖が使われる
出典:スーパーハルタのInstagram(2024年12月19日)より
このリール動画の視聴回数は99万5000回(2026年3月時点)に上り、ハルタのInstagramで最初にバズったものだ。春田さんは「食」について真剣に語りながら、たまに見せる笑顔はチャーミングで人懐っこさも感じさせる。そんな春田さんの姿にいつしか多くのファンが付いた。
中には、賛否が分かれそうなデリケートなテーマに言及した動画もある。ここでは内容の是非そのものについては論じないが、アンチコメントを含め、そうした発信が多くの視聴者の関心を喚起したことは間違いない。
2025年の秋からは週に1度「ハルタショッピング」と題したライブ配信も開始した。春田さんがリアルタイムで調理・実食しながらおすすめの商品を紹介していく、インスタライブを活用したライブコマースだ。
フォロワーは来店しなくてもハルタの商品を知り、オンラインショップで購入することができる。その結果、生活圏外のフォロワーからも商品を購入してもらえるようになり、収益の拡大につながっている。
インスタのフォロワー増加で収支が大回復
Instagramのフォロワー数の増加は、そのまま経営数値にも表れた。フォロワー数が1500人から10万人超に激増した2024年度から2025年度(予測)の1年間で、売上は7億円から8億1000万円(前年比116%)、全体の収益を表す経常利益は1167万円から2500万円(同214%)に増加した。
春田さんが現場を離れた2022年度は、売上6億7000万円、経常利益▲270万円という赤字決算だった。それが春田さんが現場復帰した翌2023年度は、売上こそ6億8000万円と前年から約1000万円の微増にとどまったものの、経常利益は767万円。売上の増加分がほぼそのまま利益増となり、黒字転換を果たした。安売りをやめて高付加価値商品を徹底して売り込んだ結果だ。
売上高経常利益率で見ると、2022年度は▲0.4%だったのに対し、2023年度は約1.1%、2024年度は約1.7%まで改善。さらに2025年度は、10カ月経過時点での予測ながら、経常利益2500万円、同利益率約3.1%を見込む。小規模なスーパーでは1%を割り込む企業が多い中で、3.1%はローカルスーパーとしては極めて高い収益水準といえるだろう。





