不動産や株からの収入はカットされない

ポイント3:繰り下げをしても支給停止部分は増えない

65歳から年金を受け取らず、66歳から75歳までの間で受給を開始すると、年金額は1カ月あたり0.7%ずつ増えていきます。たとえば、5年間繰り下げて70歳から受給する場合、「0.7%×12カ月×5年間=42%」となり、年金額を42%も増やすことができます。

しかし、支給停止部分の年金額は増額の対象にはなりません。たとえば、基本月額(報酬比例部分)が15万円で、そのうち2万円が一部支給停止となっている場合、繰り下げによる増額の対象となるのは13万円です。

つまり、繰り下げ受給で増額されるのは、受け取れる年金を受け取らずに繰り下げした場合です。支給停止されている部分は増額の対象とはなりません。一方、在職老齢年金制度の対象とならない老齢基礎年金は、繰り下げで年金額を増やすことができます。

ポイント4:厚生年金保険の加入義務がない70歳以上も在職老齢年金制度の対象となる

70歳以降、厚生年金保険の加入義務はなくなりますが、現行制度においては、厚生年金の加入要件に該当する働き方を続ける限り、年齢の上限なく在職老齢年金制度による支給調整が行われます。厚生年金保険料は発生しませんが、年金額が増えることもありません。

ポイント5:どんなに高収入でも、給与収入以外であれば在職老齢年金制度の対象外

在職老齢年金制度において、年金と収入との調整に使用するのは標準報酬月額や標準賞与額です。したがって、雇用関係にある勤務先から受け取る給与やボーナス以外の、不動産収入や金融所得などは、たとえ高収入であっても調整の対象にはなりません。なお、給与収入であっても、厚生年金保険に加入しないパートタイマーは対象外です。

制度改正でライフプランの選択肢が増える

2026年4月以降、在職老齢年金の支給停止調整額は、前年度の51万円から65万円へと大幅な引き上げになります。これまで支給停止になっていた人も、4月以降は支給停止にかからない可能性があります。また、年金カットを回避するために働き方を制限していた人は、あまり気にすることなく働けるようになるかもしれません。

横断歩道を渡るシニアのビジネスマン
写真=iStock.com/Jacob Wackerhausen
※写真はイメージです

年金なしで生活できるだけの給与を得ても年金額がカットされないとなれば、働いている間は年金を受け取らず、受給開始を66歳以降に繰り下げて、完全リタイアに備えて年金額を増やすなど、ライフプランの選択肢が増えることになります。

今後のライフプランを立てる上でも、在職老齢年金制度をよく理解しておくことが大切です。

【関連記事】
新NISAが始まっても投資に手を出してはいけない…経済学者が「老後に備えるならコレ」と唯一勧める金融商品【2023上半期BEST5】
ギャンブルでも、旅行でも、美術品収集でもない…和田秀樹が手を出すなという「世の中で一番金のかかる趣味」
利回り7%超の銘柄がゴロゴロある…お金の専門家が保有する「高配当&株主優待」合わせ技5銘柄【2025年7月BEST】
バフェットも「現金は危険だ」と警告した…オルカンでもS&P500でもない、インフレ時こそ強さを発揮する「資産」
「年金だけで暮らす人」は早々に手放している…50代までに捨てておくべき「老後のお金を食い潰すもの」8選