年金カットの基準が14万円アップ

「②給与と年金の合計額」とは、以下の3つの合計のことです。

(ア)給与(その月の標準報酬月額)
(イ)その月以前1年間の賞与〔標準賞与額(※1)〕の合計額÷12カ月
(ウ)老齢厚生年金の1カ月分

※1 税金や社会保険料が引かれる前の賞与支給額から、1000円未満の端数を切り捨てた金額。1カ月あたり150万円が上限。

在職老齢年金の計算においては(ア)と(イ)を合わせて「総報酬月額相当額」、(ウ)を「基本月額」と言います。

(ア)の標準報酬月額は、給与明細に載っている厚生年金保険料を確認し、以下の式で計算できます。

標準報酬月額=厚生年金保険料×100÷9.15

例えば、厚生年金保険料が2万7450円の場合、標準報酬月額は30万円です(27450×100÷9.15)。

給与明細の厚生年金の欄
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです

「③支給停止調整額」とは、年金カットが始まる基準額のことです。

給与等と年金の合計が支給停止調整額以下であれば年金は全額支給され、超えた場合は、超えた額の半分が支給停止になります。

2004年の年金法改正で定められた48万円(2004年度価格)をベースに、2005年度以降、賃金や物価の変動に応じて毎年改定が行われてきました。2025年の年金法改正では、ベースとなる金額が62万円(2024年度価格)に引き上げられ、さらに賃金や物価の変動を加味して、2026年度は前年度の51万円から65万円へ引き上げられます。

支給停止額は次の計算式を使って算出します。

支給停止額={(標準報酬月額+基本月額)-支給停止調整額}÷2

1年で30万円多くもらえるケースも

今回の制度改正でどんな変化があるのでしょうか。具体例として、給与36万円、賞与120万円、老齢厚生年金120万円の人のケースを見てみましょう。

・総報酬月額相当額
標準報酬月額(36万円)+標準賞与額の1カ月分(120万円÷12カ月=10万円)=46万円

・基本月額
老齢厚生年金の1カ月分(120万円÷12カ月)=10万円

2026年3月末までは、給与と年金の合計が56万円で、支給停止調整額の51万円を超えているため、年金10万円のうち2万5000円がカットされてしまいます。

しかし、2026年4月からは支給停止調整額が65万円となるので、年金は満額支給されます。つまり、制度改正によって1年で30万円の差が出ることになります。

【図表2】在職老齢年金制度が改正されると…
編集部がGeminiで作成