「1階部分」が減らされることはない

今回の改正により、これまで年金をカットされていた人が、全額受け取れるようになったり、働き方を調整していた人が、あまり気にせずに働けるようになる可能性があります。

ただし、在職老齢年金制度には誤解や盲点がありますので、要注意ポイントを見ていきます。

ポイント1:老齢基礎年金は在職老齢年金制度の対象外

公的年金制度は、すべての人を対象とする国民年金(基礎年金)をベースに、会社員や公務員が加入する厚生年金を上乗せする2階建て構造です。在職老齢年金制度は2階部分の老齢厚生年金の話であって、老齢基礎年金には関係がありません。したがって、給与収入がどんなに高額になっても、老齢基礎年金が減らされることはありません。

【図表3】公的年金制度の種類と加入する制度

計算に使われるのはメインの年金だけ

ポイント2:基本月額(報酬比例部分)が全額支給停止になると加給年金額は受け取れない

65歳以上で老齢厚生年金を受け取る場合、経過的加算額(※2)や加給年金額(※3)、繰り下げ受給した場合の増額分が報酬比例部分に上乗せになることがありますが、これらは在職老齢年金の計算には含みません。在職老齢年金の対象となるのは、あくまでも報酬比例部分のみです。

ただし、加給年金額は注意が必要です。基本月額(報酬比例部分)が1円でも支給されていれば、加給年金額を全額受け取ることができますが、全額支給停止となった場合は加給年金額も全額支給停止になってしまいます。

※2 20歳前または60歳以降にも厚生年金に入っており、かつ国民年金の納付期間が40年(480カ月)に満たない人が差額を解消するために設けられ、老齢厚生年金に上乗せして支払われる
※3 65歳になったときに、65歳未満の配偶者または18歳到達年度の末日までの子どもがいる人で、20年以上厚生年金に加入期間していた人に支給される