嘘ばかりの母親

シャント手術を受けた母親だったが、記憶力などはやや回復したものの、「年齢相応よりも物忘れがある」と評価され、「軽度認知症」と診断。

そして2020年6月。今度は皐月さんの立ち会いのもと、2度目の介護認定調査を受けた。

「母は、自分をよく見せたいがために、自立しているように見せかけます。さらに母は口が達者なため、頭はしっかりしていると思われ、3年前の要介護状態かどうかのチェックでは、実際より軽く認定されたようです」

頭部のMRI画像
写真=iStock.com/Tamer Soliman
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認定員の質問に母親が答えているのを見ていた皐月さんだったが、嘘ばかりで呆れた。

「もともと風呂嫌いの母は、ほとんど風呂には入っていないのに、『1日おきに入って、週に2回は髪を洗っている』と答えていましたが、それであのガス料金の安さはあり得ません。『料理は自分でする』と答えていましたが、それなら一層あの料金はないです。母は握力がなくなっているので、石鹸をタオルにつけたり、髪を洗ったりすることが1人でできるはずがありませんでした」

母親のいない場で皐月さんがそのことを伝えると、認定員は驚いていた。

ストレスで「不眠症」再発

母親は要支援1から、一気に3段階アップの要介護2となった。

そのため皐月さんの提案で、2020年の秋から週に1回、デイサービスに通うことに。

「最初はなかなかうんと言わず、拒絶していましたが、『ご飯を食べて帰るだけ』と言ってお試しで行ってからは拒絶はしなくなりました」

そんな頃、皐月さんは、眠りについても短時間で中途覚醒が頻繁に起こる「不眠症」になってしまう。

「息子が生まれた後、あまりにも寝てくれない子だったため不眠症になり、母の件もあってうつ病も発症してしまいました。それでも、3年ほど前にやっと克服したのですが、介護の件で母と会うことが増え、無理をしていたのでしょうね。一番つらいのが母との会話です。幼い頃から嫌だったのが、平気で嘘をつくところや自分を正当化するところ。どんな話をしていても、言葉尻をとって自分の話にすり替えてしまうところ。そしてまとまりがない話を果てしなく喋り続けます。このせいで私の娘も、母のことが嫌いになりました」

母親は耳も遠くなってきており、皐月さんは時折、大声を出さなくてはならず、これもストレスのひとつだった。