業績V字回復でボーナス15%増
新たな豊橋名物となったブラックサンダーあん巻きは、これまであまり和菓子を食べなかった男性や若い世代にも顧客層を拡大。2025年末までに累計販売数500万個を突破した。
このヒットを起爆剤に、「ゆでがえる状態」だった老舗和菓子店は、業績をV字回復。2024年には過去最高収益を上げた。2023年以降は毎年、賃上げを行い、ボーナスも平均10〜15%の増額を行っている。
帝国データバンクの統計によると、2025年1月から7月の菓子製造小売事業者の倒産は39件で、前年同期の約6割増。過去最多だった2019年の49件を更新するペースだという。逆風が吹き荒れる製菓業界で、お亀堂の快進撃は際立っている。
地元企業に助けられた恩を、地元に還元
ブラックサンダーあん巻きは、なぜここまで愛される商品になったのだろうか。
森会長は「他の和菓子屋が真似できないところがヒットの要因なのではないか」と分析する。
「例えば、いちご大福は20年くらい前にどこかのお店が作ったんです。和菓子の世界では、大きなヒット商品が出ると、日本中の和菓子屋さんが真似し始める。私たちも常に全国のお菓子をリサーチしています。でもこのブラックサンダーあん巻きは、材料の関係で他では決して真似できない。それが大きな強みですね」
森会長は「2度とコラボはしたくない」と冗談まじりに話していたが、実はお亀堂はブラックサンダーとタッグを組んで以降、地元の企業や農家とコラボを積極的に行っている。
あん巻きで言えば、2024年に名古屋駅で行列の絶えないスイーツ「ぴよりん」とのコラボを実現した。これは単なる人気キャラクターとの共演ではない。誤嚥事故をきっかけに学校給食でのうずら卵の使用が中止になり、生産過多になった豊橋産のうずらを餡に使うことで、地元の農家のピンチを救いたいという思いがあった。実際に、販売開始から1年で豊橋産のうずら卵を25万個使用している。

